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糸谷新竜王誕生

竜王戦中継ブログ
棋譜→2014年12月3日~12月4日 第27期竜王戦七番勝負 第5局 森内俊之竜王 対 糸谷哲郎七段

昨日行われた竜王戦第5局は挑戦者・糸谷哲郎七段が森内俊之竜王を破り、4勝1敗で竜王位を奪取しました。
糸谷さんは初のタイトル獲得で八段に昇段。一方、森内さんは春の名人戦に続いてタイトルを失い約3年ぶりの無冠(九段)となってしまいました。

第5局は第4局に続いて森内さんが終盤に間違えて、糸谷七段の大逆転勝ちとなりました。
まさか、2局続けて大逆転劇が起きるとは思いませんでしたね。2日目の昼休にチラッと見たときには先手(糸谷)が悪かったので、これは第6局コースだろうなと思っていたらいつの間にか逆転してたので驚きました。過去のタイトル戦でも終盤の大逆転は何度もありましたが、2局続いてこういう結末というのはあまりないのでは。

20141205糸谷森内
本譜は132手目の△9八桂成が敗着だったそうですが、その前に△1二玉と早逃げしておけば後手が残していたんじゃないかと思います。森内竜王らしくない着地ミスでした。糸谷さんの早指し、時間攻めにペースを乱されたんでしょうか?

逆に、糸谷さんの悪くなってからの粘り方は巧かったですね。良くも悪くも糸谷らしさが出た将棋だったと思います。
消費時間が4時間29分で3時間31分も残して勝つとは、、、すごいですね

糸谷さんは新四段のころから「怪物」と呼ばれ期待されていました。その後、NHK杯で2年連続準優勝に輝きましたが、タイトル戦挑戦には届かず、順位戦でも豊島さんに先を越されました。僕の中では、「強いけど少し安定感に欠ける」イメージがあったのですが、今年に入って一気に飛躍しましたね。

20代若手棋士がタイトルを獲得するのは渡辺さん、広瀬さん以来ですか。広瀬さんも1年で王位を失い、その後は渡辺さんが孤軍奮闘している状況でした。その渡辺二冠も今年三十路になって20代のタイトルホルダーはいなくなった。
個人的には若手棋士の台頭を待ち望んでいたので、糸谷さんの竜王奪取は嬉しいです。

タイトルを獲ると色々な仕事も増え大変だと思いますが、糸谷さんには竜王らしく頑張ってほしいです。順位戦も早くB1に上がってほしいですね。

糸谷新竜王おめでとうございます!
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[ 2014/12/05 07:45 ] 竜王戦 | TB(0) | CM(1)

第72期名人戦第4局 羽生三冠が名人奪取、四冠に

昨日行われた第72期名人戦第4局は挑戦者の羽生善治三冠が森内俊之名人を破り、4連勝で名人を奪取しました。
4年ぶり通算8期目の名人獲得で、史上最多3度目の名人復位となります。

第4局、羽生三冠が先手で戦型は相掛かりでした。今期の名人戦は第1局と第2局が相掛かり、第3局が矢倉△5三銀右、そして本局が相掛かり、4局中3局が相掛かりでした。力戦調の将棋が多かったシリーズでしたね。

20140521羽生森内2
先手が桂頭を狙って5六に角を打ち、羽生三冠が攻め、後手の森内名人が受けるという展開になりました。2日目の午前中のあたりは後手が良いと言われていたようですが、先手の攻めが続き難解な勝負に。

最後は激戦になりましたが、91手目俗手の▲4一金~▲4二角が好手で羽生三冠が寄せ切りました。
20140521羽生森内1

過去3年の森内名人の圧倒的な強さを見ていたので、4タテは正直予想していませんでした。けど、羽生森内戦って意外と4-0、4-1が多いんですよね。通算成績は拮抗しているのですが、連勝連敗が多いというか星が偏る傾向があります。今回は羽生さんの4勝0敗でしたが、森内さんが4連勝で羽生さんから竜王奪取したこともあります。そういう傾向をみると意外でもないのかな。

今期の羽生さんは竜王戦1組でも優勝して6戦負けなし。ここ数年は春先の成績が良くなかったですが今年は絶好調ですね。この2人は6月から始まる棋聖戦五番勝負でも顔を合わせます。こちらも楽しみですね。
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[ 2014/05/22 06:54 ] 名人戦・順位戦 | TB(0) | CM(0)

第3回電王戦第5局 屋敷九段敗れる

屋敷九段が先手で初手▲2六歩△8四歩の出だしから相掛かりかと思いきや、横歩取りになりました。ちょっと変わった出だしでしたが戦型を横歩取りに限定させるための手順だったようです。対するponanzaは中住まいでなく△6二玉!
形は違いますが第3局豊島-YSS戦でもこの△6二玉が出てきました。

これを見て屋敷九段は▲3六歩~▲3七桂の青野流。このあたりは屋敷九段の事前研究どおり進んでいるような印象を受けたのですが、そう簡単にはいきませんでした。

20140412屋敷ponanza3
飛車交換になったところでは形勢互角になっています。
20140412屋敷ponanza1
その後、ponanzaが△1六香から先手の角を詰ましにいったのですが、この一連の手順は評判が良くなかった。というのも成香と金が僻地で遊んでしまう可能性があるからです。この手順をみて解説の渡辺二冠は「観戦記者の方に△1六香を聞かれたら、そんなところに香車を使うのは良くありませんと答えてしまう手ですよ。これが良い手だとしたら相当強い」というコメントを残しています。私もこの手順には違和感を持ったのですが、GPS将棋の評価値は後手持ち。結果的にはCOMの形勢判断どおりに進みました。

20140412屋敷ponanza2
あの成香が6九まで大移動して寄せに働く展開に。

終盤は先手玉の入玉の可能性もあったのですが、▲8一成香が最後の敗着。△8三歩(104手目)と突かれて万事休しました。
20140412屋敷ponanza4
どうやら屋敷九段はこの△8三歩を軽視していたようです。以下は後手勝勢となって130手でponanzaの勝ちとなりました。

これで今期電王戦はプロ側の1勝4敗、2年続けての負け越しとなりました。今回はルール改正があって前評判ではプロ棋士有利の声が多かったと思いますが、結果は昨年と同じく1勝しかできませんでした。内容的には熱戦の面白い将棋が多かったと思いますが、熱戦、ねじり合いになるとコンピュータが勝つんですよね。勝つとしたら阿部光瑠-習甦戦や豊島YSS戦のように短手数で決めるしかないのかもしれません。

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[ 2014/04/13 06:33 ] 電王戦 | TB(0) | CM(0)

第72期名人戦第1局

今年で4年連続9回目となる森内vs羽生の名人戦が開幕しました。開幕局は期待通りの大熱戦となりました。

森内名人が先手で戦型は相掛かりに。前期名人戦の第1局、第2局も相掛かりで、森内名人が「往復ビンタ」を食らわせて連勝スタートでした。

早めに9筋の位を取ったのが後手の趣向です。後手が7六の歩を狙って△8六歩と合わせてきたのに対し、先手は▲7七金。これに後手が△8七歩と打って飛車角交換の激しい変化に進みました。
20140409森内羽生1
先手は金銀バラバラでまとめにくそうに見えましたが、森内名人は▲6七飛の自陣飛車から陣形を上手くまとめ上げてみせます。
2日目が始まった時点で解説の木村八段は先手持ちの見解を示していました。ただ、これは好みが分かれるところで森内名人や木村八段のように受けが得意な人は先手でしょうが、攻め好きの人は後手を持ちたい人が多いかもしれません。私は正直どっちを持っても自信がないですね。力が強いほうが勝つという将棋だったと思います。

後手の手が難しいと言われていましたが、羽生三冠は△9三桂と跳ねてから△7四歩▲同歩△3六歩▲同歩△7四銀と仕掛けていきます。このあたり羽生三冠が上手く手を作って形勢は次第に後手ペースに。
20140409森内羽生2
後手の攻めが続き、流石の森内名人でも受けにくい格好となってしまいました。

終盤は森内名人が鋼鉄の受けで粘り、長手数の熱戦になりましたが逆転には至らず。羽生三冠が冷静な指し手を続けて逃げ切りました。総手数178手の大熱戦でした。

最近の2日制のタイトル戦は夕休前に決着がつく将棋が多かったと思います。9時過ぎまで(終局は21時54分)熱戦が続いたのは2日制では久々ではないでしょうか。
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[ 2014/04/10 06:34 ] 名人戦・順位戦 | TB(0) | CM(1)

第63期王将戦第7局 渡辺王将防衛

3勝3敗で迎えた渡辺羽生の王将戦第7局。改めて振り駒を行った結果、先手となったのは羽生三冠でした。

後手の渡辺王将は第4局に続いてゴキゲン中飛車を採用。渡辺王将は最近ゴキ中を連採していますが、最終局の大一番でも振るというのはちょっと予想外でした。
先手の超速に後手は△4四銀型で対抗し相穴熊になりました。▲8六角はこの戦型ではよく出てくる手。対して後手は8筋の歩を伸ばしていきましたが、ちょっと伸びすぎな感じもしました。

20140327羽生渡辺1
封じ手の局面(46手目△4五銀)は先手不満なし。しかし、そこから十数手進んだ△7三角(60手目)の局面は後手ペースになっています。
20140327羽生渡辺2
先手は5筋の歩を突いて銀を成り込んだものの戦果が上がらず。一方、後手は角を好位置に転換することに成功しました。どうして先手がまずくなったのか、感想コメントを見ると△7五歩(50手目)に▲同歩でなく▲5五歩だったのが良くなかったようです。
△7三角に羽生三冠は▲5三成銀と寄りましたが、△5二金とぶつけられて成銀と金の交換は後手が得しました。

20140327羽生渡辺3
▲8四銀に△5五角(70手目)と天王山に角が出て後手がはっきり優勢になりました。
以下羽生三冠も粘りましたが形勢挽回できず、110手で渡辺王将の勝ち。4勝3敗で防衛を果たし、二冠を堅持しました。

今期の渡辺さんは竜王失冠、勝率も5割台と苦しんだ1年でした。それでも最後に二冠をしっかりキープするのは流石ですね。

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[ 2014/03/28 07:15 ] 王将戦 | TB(0) | CM(0)