スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

塚田泰明九段の自戦記(新潮45)を読んだ

18日発売の『新潮45 2013年6月号』に電王戦第4局を戦った塚田泰明九段の手記「われコンピュータ将棋と引き分けたり」が載っています。タイトルは故・米長永世棋聖の「われ敗れたり」をもじったもの。62ページから9ページにわたって掲載されています。

新潮45 2013年 06月号 [雑誌]新潮45 2013年 06月号 [雑誌]
(2013/05/18)
不明

商品詳細を見る


詳しくは本誌を手に取って読んでいただくことにして、気になった部分を抜き出しておきます。

・電王戦の応募者は十数名いたそうだが非公開。佐藤慎一四段は前会長の御指名。三浦八段は「A級の参加者が1人欲しい」というドワンゴの要請。純粋に公募で決まったのは阿部光瑠と塚田の2人。

・ツツカナの開発者は△7四歩という普通では珍しい手をあらかじめ入力しておくことにより、ソフトの弱点が出ないよう手を加えていました。それは「人工知能」だけの戦いではないので妙な話です。(中略)ちょっと人力を加えることで隙が減るのは不公平で、ルール上認めてしまったのは失敗でした。

・(第4局の内容について)端に垂れ歩をしたら、なぜか飛車を引いてくれたので入玉を目指す方針に転換した。飯田さん(弘之六段)から教わった作戦「入玉を狙え」に従い、確信を持って手順を進めた。

・対局を観戦していた妻(高群女流)からは「指さして駒を数えるのはみっともない」と指摘された

・終わった後にさまざまな議論があったが、びっくりしたのは「勝てた」という意見があったこと

・第3回は最新版に近いソフトを提供してもらうこと、序盤に開発者の意志を加えないことをルール化すべき

※注:「塚田九段は勝てた」という意見はネット上でもいくつか見かけましたが、参考までにApery開発者の平岡さんのブログを載せておきます。
電王戦第四局 塚田泰明九段 対 Puella α - buoyance

==========
一番気になったのは、序盤に開発者の意志(例:ツツカナの△7四歩)を加えるのはおかしいという意見。

私は別に不公平だとは思わなかったです。ツツカナの場合、開発者の一丸さんが事前にソフトを貸し出してたので。
それに、序盤の駆け引きがあったほうが「人間対人間」の戦いという感じがしてむしろ面白かったですね。でも、対局者の立場だとそれは不公平だと思うのも分からなくはない。どこまで開発者の意志を入れていいのか、難しい問題ですね。

現代ビジネスの観戦記(後編)で塚田九段は「第3回があるなら、その運営委員に立候補したい」と語っていました。前回はルールが曖昧な部分があったので、もし第3回やるのであれば開発者ときちんと議論してほしいと思います。

「人間対コンピュータ将棋」頂上決戦の真実 【前編】対局3日前、「棋界の武蔵」三浦八段が漏らした本音 文/山岸浩史
「人間対コンピュータ将棋」頂上決戦の真実 【後編】一手も悪手を指さなかった三浦八段は、なぜ敗れたのか 文/山岸浩史

↑現代ビジネスの山岸さんの観戦記は非常に読み応えがあって面白かったです。未だ読んでない方は是非。
スポンサーサイト
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2013/05/20 21:28 ] 電王戦 | TB(0) | CM(5)

184手の死闘 第2回電王戦第3局 船江恒平vsツツカナ

"第2回 将棋電王戦 第3局 船江恒平五段 vs ツツカナ"(ニコニコ生放送)

序盤から意表の出だしになった。船江先手で▲7六歩△3四歩▲2六歩にツツカナは△7四歩!
プロでもたまにある袖飛車の出だしだが、全くの予想外だった。ツツカナは前日の準備段階で4手目△7四歩に絞り込んで設定してきたそうだ。開発者の一丸さん曰く先手の研究に嵌るのを避け力戦に持ち込んだとのこと。△7四歩に対して▲5八金右も珍しい。

紆余曲折あって角換わりの将棋になった。ツツカナが飛車先交換しなかったため先手だけが一歩を手持ちにしている。前局もそうだったが、将棋ソフトは飛車先の交換を重視しないようだ。
後手は早繰り銀で先攻する。△7六歩以下の攻めはプロでなくても無理に見えるのだが、ソフトはこういう攻めが好きだと思う。42手目の△6六角!もコンピュータらしい手だが、▲5四歩からの反撃が厳しく形勢は人間に傾いた。

だが、そこで簡単に崩れないのがソフトの強さ。△2二金打~△5五香!(74手目)で流れが変わった。
20130407船江ツツカナ1

△5五香は馬の利きを止めてしまうので人間には指しにくい手。こういう手を指されると人間は焦る。△6六桂が入ってプロ検討陣も後手優勢の声が多くなった。

しかし、▲2四歩△同玉を利かしてから▲5五竜(87手目)が冷静な好手で詰めろになっている。対してツツカナは△4三金と取ったが、▲同飛成(89手目)が再び詰めろ。対して先手玉は詰みがない。しかし、画面上のボンクラーズの評価値は人間から見てマイナス900点と後手持ち。
20130407船江ツツカナ4

ここでツツカナは△6八金から先手玉を追ったが、△7七角と王手竜をかける手もあったかもしれない。△5八金▲同玉△3八角成は▲2五竜以下頓死してしまう。しかしそこで△6六銀!(94手目)という手が飛び出した。
20130407船江ツツカナ2
△6六銀は▲2五竜以下の詰みを消している。だが、▲6六同竜と取られて銀損。
<追記>▲6六同竜△5八金▲同玉△3八角成には▲1五銀以下の詰みが生じてしまう。形勢は再度人間が優勢になった。

ソフトの終盤は基本的には強いのだが、このように長手数の詰みや長手数の必至が絡むと手のひら返しをすることがある。携帯中継で片上六段が「コンピュータの弱点は終盤」とコメントしていたが、確かにこういう終盤では意外と間違える。とはいえ、難解な局面でソフトに読み負けなかった船江五段の強さはさすがだと思った。「最強の詰まし屋」が本領発揮した瞬間だった。

▲6八竜~▲7八竜で先手が負けにくい形になった。これは人間勝つだろう、ソフトの粘りで長くはなるけど、船江さんなら勝ち切るだろう。そう思ったが、ツツカナの粘りは予想以上に凄かった。先手が攻めあぐねて形勢は分からなくなった。ここで一時間近く残しているツツカナに対して船江五段は20分から10分と持ち時間が減っていく。こうなると人間が辛い。

持ち時間が切迫した状況で人間にミスが出てツツカナが再度優勢になった。最後は先手にもチャンスが来たように見えたが、ツツカナは自玉の不詰をきっちり読みきっていた。184手目をみて船江五段の投了となった。

人間と将棋ソフト、双方の持ち味が随所に出た名局だったと思う。船江くんにとっては残念な結果になったが、最後の最後まで必死に戦う姿に心打たれました。お疲れ様でした。

ツツカナは本当に強かった。5つの将棋ソフトの中で個人的に注目していたのがこのツツカナだった。期待通りの強い将棋が見れて良かった。開発者の一丸さん(ニコ生では103と呼ばれてましたね)もお疲れ様でした

===============
渡辺明竜王が自身のブログで本局の感想を書いている。

ここまでの3戦で棋士側が2敗したこと、若手の中でも上位に位置する船江五段にも勝ったことから現役棋士約160人の半分(80)、いや3分の1以上(50)に相当する力がある、という見方をせざるを得ないと思います。
電王戦第3局。 - 渡辺明ブログ


竜王が言うように船江五段は若手でも上位に位置する実力者。プロになって間もないので順位戦、竜王戦のクラスは下だが、決して弱いプロではない。某所のレーティング(4月5日現在)では31位。上には30人しかいない。その船江さんに勝ったわけだから、中堅プロ以上という見方は当然出てくるだろう。
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2013/04/07 09:00 ] 電王戦 | TB(0) | CM(2)

電王戦第3局に出場するツツカナについて

4月6日(土)に行われる船江恒平vsツツカナ戦について。

今回出場している5つの将棋ソフトのなかで私が最も注目しているのがこのツツカナです。
世界コンピュータ将棋選手権には第20回から参加し、一昨年の第21回は二次予選9位で新人賞受賞。そして昨年(第22回)は初の決勝進出で3位と躍進しました。
GPS将棋やponanzaと比べてマシンスペックは低い(今回もデスクトップパソコン1台で臨む)が、好成績を残している優秀なソフトです。

特徴は、どの手をどの程度深く読むかをプロの棋譜をもとに機械学習していることで、その結果比較的人間に近い自然な手を指すと言われている。

将棋ソフトの弱点の1つとして入玉が挙げられるが、ツツカナは他のプログラムと比較して入玉に強い。入玉模様での強さを示したのが昨年の世界コンピュータ将棋選手権二次予選のBonanza戦。(http://live.computer-shogi.org/wcsc22/kifu/WCSC22_U3_BON_TTK.html

この将棋は後手のツツカナが先に入玉し、先手も上に脱出すれば相入玉の可能性が高かった。ところが、bonanzaは8八玉型のまま戦ったため寄せ切られてしまった。入玉をめぐって明暗分かれる結果になった。

もう一局、ツツカナの将棋で印象に残っているのが決勝リーグの激指戦。

戦型は角換わり腰掛け銀。先手が穴熊に組み替えたのに対して後手のツツカナが端攻めをみせる。この場合8五に桂馬が跳ねられないので端攻めは大したことがないと思ったが、△2四角で先手の4六の角を消しにいったのが好手。
20130405激指ツツ1

▲2四同角△同銀▲4六角には△3五歩の桂頭攻めがある。よって先手の激指は▲2五桂と跳ねたが△4六角▲3三桂成△同桂▲4六飛△6四角▲4九飛に△9七香不成以下端攻めが決まって後手優勢になった。

この後将棋は激しい切り合いになったが、ツツカナがきっちり一手勝ちを読み切って快勝。最後の寄せも鮮やかだった。ニコ生解説の西尾明六段は「強いですね」「レベル高すぎですね」としきりに絶賛していた。ツツカナの名局だと思う。
ニコ動に当時の動画が上がっているので是非並べてみてください↓


対戦相手の船江五段もツツカナを「本筋の将棋で美しい手を指す」(将棋世界4月号)と評価しています。本番でも美しい棋譜が見られることを期待します。

開発者の一丸さんのブログはこちら↓
第二回電王戦 QandA - コンピュータ将棋開発中

そして、今日夜8時から石田純一さん、インパルス板倉さんがツツカナに挑戦する企画があります。こちらも楽しみですね!


このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2013/04/05 07:00 ] 電王戦 | TB(0) | CM(1)

第22回世界コンピュータ将棋選手権 優勝はGPS将棋

第22回世界コンピュータ将棋選手権 ライブ中継(コンピュータ将棋協会)

1、優勝はGPS将棋
優勝は東大のコンピュータ797台(!)を並列化したGPS将棋だった。二次予選も1位通過で、上位8チーム相手の通算成績は11勝3敗と文句なしの成績。どうしても797台という数字に目がいってしまうが、これだけ規模が大きいと運用も大変だったと思う。
将棋のほうはとにかく攻めが鋭い。決勝2回戦のvs習甦戦の寄せは圧巻。7回戦対ponanza戦の▲4四角!△同角▲2一飛成は凄かった。これが成立するのか・・・


2、Bonanzaまさかの二次予選敗退
ここ数年のコンピュータ将棋界をリードしてきたbonanzaが二次予選で敗退。これは予想外だった。

3、ツツカナの躍進
二次予選でGPS,Puella αを倒して台風の目となったツツカナだったが、決勝ではこの2チームに敗れ4勝3敗。しかし大健闘と言っていいだろう。
ツツカナは人間に近い自然な指し手が多かったと思う。評価関数を機械学習によって生成するのがボナンザメソッドだが、ツツカナの場合はちょっと違って「どの手を深く読むか」を機械学習したのだそうだ。これによってより人間に近い思考を実現した。

二次予選第3局、入玉形でBonanzaを倒した将棋が特に印象に残った。△1六玉(116手目)~△2七玉と入玉を急いだのは人間的には自然な手だが、他のコンピュータなら指せただろうか?

4、電王戦出場はGPS将棋,Puella α,ツツカナ,ponanza,習甦の5チーム
上位5チームが来年の第2回電王戦に出場する。優勝4回の激指が最終戦で習甦に敗れ6位。有名ソフトの激指、bonanzaが5つに入らなかったのは寂しい。全体の層が厚くなっているのだろう

今朝の報知の記事によると、人間側の5人は今月中旬にも発表されるとのこと
「GPS将棋」が優勝…世界コンピュータ選手権:社会:スポーツ報知

<全体の感想>
今回は二次予選、決勝でも変な序盤が多かったと思う。最新形は少なく、その代わり定跡形でも古くマイナーな形が多かった。そして終盤は相変わらず強い。だが、コンピュータが強くなったかどうかは正直分からなかった。

このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2012/05/06 09:01 ] コンピュータ将棋 | TB(1) | CM(0)