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第1期リコー杯女流王座戦五番勝負開幕

リコー杯女流王座戦中継

今日から第1期女流王座戦の決勝五番勝負が始まります。

五番勝負開幕にあたって、女流王座戦の中継サイトもリニューアルされた。
両対局者の直前インタビューやプロモーションムービーなどもあり、気合の入った作りになっている。
その中でも特に、梅田望夫さんと野月浩貴七段の対談、これは是非読んでほしいと思う。

特集 | リコー杯女流王座戦中継 特集 | リコー杯女流王座戦中継

今回決勝に勝ち上がったのは、清水市代女流六段と加藤桃子奨励会員。
清水市代女流六段は言わずと知れた女流の第一人者。一方の加藤桃子さんについてはまだあまり知らない人も多いかもしれない。彼女は「女流棋士」ではなく、奨励会に在籍しプロ棋士を目指し修行している。現在、里見香奈女流三冠と同じく1級。(関西と関東で在籍は異なるが)

しかし、奨励会1級と言われてもどれくらいの実力か、ピンと来ない人が多いのではないかと思う。奨励会が強者揃いで厳しい世界だということは知っているが、どのくらい厳しくてどのくらいの強さなのかはこの世界を経験した者でなければ分からない部分だと思う。男性のプロ棋士と奨励会1級の間にはどれくらいの差があるのか。アマチュアの強い人と比べるとどうなのか?そのあたりを梅田さんとの対談で野月七段がうまく言語化している。

野月 そうですね。奨励会ということで考えていくと、奨励会に入った時点では、みんなアマチュアのなかの強い子達ということで、6級ですとアマチュアで強い人というレベルですね。そこから修行を重ねてきて3級とか2級とかになると将棋の質や考え方が変わってきてプロの将棋の一番下という位置に属性が変わってくる。ちょうど変わり目くらいで個人差もありますけど技術的な面で変化がみられるのが2級から3級くらい、というのがありますね。
我々は三段と四段で区切っていません。そこでスパッと棋力が違いますとは思っていないので。

梅田 それは制度上そうなっているだけだということですか?

野月 そうです。ひとつの流れで基本的に奨励会の6級までがプロ集団だとみているわけですね。今いったように2、3級位でひとつの区切りがあって考え方が我々に近いというか我々と同じようなことを考えるようになってくる。(後略)

野月七段によれば、基本的には奨励会の6級までがプロ集団。数年の修行を経て「奨励会1級」ともなると、プロに近いレベルに達している。
加藤さん、里見さん、そして伊藤沙恵さん(彼女も1級)は今そのレベルで戦っているわけだ。

女流王座戦でのここまでの加藤さんの将棋を観て「鍛えが入っている」という印象を持った。BlogやTwitter上でも同様の感想を目にした。不利でも簡単に崩れない、そして優勢の将棋を確実に辛く勝ちに行く。野月七段が「将棋の質や考え方が違う」と言うのもなんとなく分かる気がする。

一方で、清水さんは奨励会に所属した経験はないが、「自分で叩き上げた将棋」(by野月)で女流の第一人者の座を守り続けてきた。矢内さん、千葉さん、甲斐さんなど奨励会経験者は今までにもいたが、彼女らを退け女流トップに君臨し続けた。しかし、ここ1、2年は若き天才、里見香奈の後塵を拝している。それでも今回決勝まで勝ち上がってくるのは流石だ。今回は女流の代表として貫禄を見せることができるか。

実力は両者互角に近いので、どちらが初代女流王座を勝ち取ってもおかしくない。
大舞台の経験値や実績という点では清水さんに分があるので、個人的には清水持ち。だが、普段どおりに戦えば加藤さんにも十分チャンスはあるだろう。

第1期にふさわしい熱戦となることを期待します。

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[ 2011/10/22 08:00 ] 女流 | TB(0) | CM(0)

「電王戦」開催決定! 米長邦雄永世棋聖vsボンクラーズ

プロ棋士対コンピュータの「電王戦」を発表 「米長邦雄永世棋聖vsボンクラーズ」 | ニコニコニュース
日本将棋連盟、ドワンゴ、中央公論新社の三社は2011年10月6日、共同記者会見を開き、日本将棋連盟会長の米長邦雄永世棋聖と、将棋対局ソフト「ボンクラーズ」が対局することを発表した。「電王戦」と名づけられたこの対局は来年1月14日に東京・将棋会館で行われ、ニコニコ生放送で中継される。

昨日行われたニコニコ生放送での記者会見は、予想通り(?)米長vsソフト戦の発表だった。

電王戦」開催のきっかけとなったのは1年前の中央公論での梅田望夫氏と米長会長の対談である。
そして今回は中央公論新社に加えてニコニコ生放送を運営するドワンゴがスポンサーとなった。

次は私がコンピュータと対局します!(中央公論.jp)

対談は4ページにわたるが、米長 vs COM戦の構想が出てくるのは3ページ目。その中から一部を抜粋する。
梅田 トッププロの方々とコンピュータ将棋の話をしますと、みなさん「人間との対局をしなくていいなら指してみたい」と必ず言うんですね。コンピュータと戦うためには、そのための研究をしなくてはいけない。これは当然ですよね。人間同士の対局でも相手の研究はするわけですから。しかしトッププロは順位戦やらタイトル戦やら人間との勝負に忙しくて、実際にはとても準備ができないと。(中略)
 つまりトッププロからすれば、人間との戦いのための研究を、たとえば一年間休んでしまえば、そこでもう棋士生命が終わってしまう恐れすらあるわけです。だから現実問題として、「コンピュータと指す」というのは彼らに非常に難しい選択を迫ることになってしまうんですね。

梅田 そこで僕が考えたのが引退棋士です。相当な実力を未だ持っているけれども、人間同士の戦いからは解放された引退棋士が腰を据えてコンピュータ将棋を研究し、真剣に勝負をするんです。もし毎年継続的に対局ができるとなれば、それは開発者にとっても喜ばしいことに違いありません。非常にわかりやすい開発の進捗状況を測るモノサシができるわけですからね。
 そしてその「相当に強い引退棋士」の一人がまさに米長会長です。(後略)


ニコニコ生放送での渡辺明竜王の言葉を借りれば、Bonanza戦のときは「奨励会初段レベル」だった将棋ソフトの実力は、いまや三段からプロの底辺レベルにまで達している。

今回の興行が成功すれば、数年後にはトッププロとソフトの対戦もあるだろう。ニコニコでの新棋戦という話も出てくるかもしれない。その意味で今回の「電王戦」は勝ち負けにかかわらず盛り上がってほしいと思う。もちろん米長さんに勝ってほしいですけどね。来年1月の対戦が今から楽しみだ。


電王戦特設サイト→米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ プロ棋士対コンピュータ 将棋電王戦 米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ プロ棋士対コンピュータ 将棋電王戦

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[ 2011/10/07 07:30 ] 電王戦 | TB(0) | CM(0)

感想 『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか』 梅田望夫著

「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか」

将棋ファンの間では波紋を呼んだタイトルである。あまりの波紋の大きさに著者がブログ上で弁明(?)記事を書いたほどだ。
将棋ファンならば羽生善治とライバル関係にある棋士が何人もいることを知っている。それだけにこのタイトルに違和感を持った人が多かったのだろう。

著者は、この問いは将棋を知らない人々にとっては「自然な問い」であるが、一方で将棋関係者からすれば「残酷な問い」でもあるのだと述べる。

 しかし、綺羅星のごとくプロ棋士たちがひしめき合う現代将棋の世界で、羽生善治だけがただ一人、圧倒的な実績を残しているのも事実である。
 だから人々は「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」と問うのだ。詳しいことなど知らないほうが、かえって本質を射抜くこともある。将棋の世界を一歩外に出れば、この「残酷な問い」こそが「自然な問い」であり、そしてそれは、答えに窮する難問中の難問でもあるのだ。

本書p8,9より引用


羽生善治という存在抜きにして今の将棋界は語れない。「難問」であるとはいえ、その「自然な問い」に何かしらの回答を出さなければ、将棋の世界がどのような世界なのか、どのような魅力があるのか伝わるわけがない。羽生善治の強さを説明することは、即ち今の将棋界で何が起こっているかを説明することなのだ。

しかし、この「残酷な問い」を説明せよと棋士達に言えようか。日々「羽生善治という人の壁」にぶち当たりもがき苦しんでいる彼らに「羽生善治だけが強い理由」を説明させるのは酷な話だ。今回の試みは、棋界を客観視することができる「アウトサイダー」であり、棋界に深く関わり、棋士達と非常に近い立場にある「インサイダー」でもある梅田望夫だからこそできたのだろう。

前著『シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代』で梅田は普段将棋を指さないが将棋界に興味がある人々に、堂々と「指さない将棋ファン」宣言することを提案した。同書は大きな反響を呼び、将棋を観戦中心に楽しむ、いわゆる「観る将棋ファン」が増えた。

今回は将棋ファンの裾野をさらに広げる試みである。将棋にはほとんど興味がないが羽生善治だけは知っているという人はかなりの割合で存在する。「羽生善治だけは知っている」という人々に将棋界の魅力を伝え、「将棋ファン」(観る指す問わず)になってもらうために著者はあえて刺激的なタイトルをつけたのだろう。

さらに言えば、このタイトルは「もしあなたがた(将棋ファン)が『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか』と問われたら、あなたはどう答えますか」という将棋ファンへの問いかけでもあると思う。タイトルに一瞬違和感を抱きながらも、改めて羽生善治の強さの理由を考えてみたファンは私だけではないはず。数日考えただけでは答えの出ないような難問だが、他の将棋ファンがどういう答えを出すかいつか聞いて(読んで)みたいものだ。

さて、本書は五つの章から成り立っている。
はじめに―残酷な問いを胸に
第一章 大局観と棋風
第二章 コンピュータ将棋の遥か上をゆく
第三章 若者に立ちはだかる第一人者
第四章 研究競争のリアリティ
第五章 現代将棋における後手の本質
あとがき 誰にでも最初はある



各章とも羽生善治が昨年から今年にかけて戦った将棋のリアルタイム観戦記と後日、本人ないし関係者に対して行われたインタビューとで構成されている。この構成はスポーツドキュメンタリー番組を観ているかのようで良かったと思う。

どの章も面白いのだが、将棋界にはそれほど詳しくなく、「どうして羽生さんだけが強いの?」という疑問を持って本書を手に取った方にお勧めなのが、第三章。第一人者を超えるには単に技術面だけでなく、「羽生善治」という人間との闘いに打ち勝たねばならないことがわかる。羽生善治が「怖い」「恐怖心がまだぜんぜん拭えない」と吐露する山崎隆之。自らの心の弱さを素直にさらけ出しているが、その人間臭い部分が彼の魅力でもある。今まで数多くの棋士達が羽生善治について語ってきたが、羽生のことを「むかつく」と言い放ったのは彼が初めてだろう。(笑)余談だが、最もアーティスティックな棋士は誰かと問われたら、私は山崎隆之の名前を挙げる。

個人的に興味深かったのは第5章。
現代将棋では、日々新手が誕生しているが、その新手に著作権はあるのか。若手棋士の研究がトップ棋士によってタイトル戦で公に出された場合、それは誰の成果となるのか、前から私が疑問に思っていたことを深浦は「料理人」と「素材」という喩えを用いて説明している。そして、研究競争の激化がもたらす弊害も指摘している。深浦の「本当の研究合戦って、定跡を疑うところから始まるんですよ。」という言葉が強く印象に残った。

私は、前著『シリコンバレー―』を読んで深浦康市のファンとなった。王位失冠後も調子を取り戻せないでいる彼を見るのは辛いものがあるが、ぜひとも捲土重来を果たしてほしい、また大舞台に戻ってきてほしい、そう願っている。

それにしても将棋を題材にして、これほどまでに面白い作品を作り上げるとは!
著者梅田望夫もまた超一流の「料理人」であることを改めて実感させられた。

どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語
(2010/11/25)
梅田望夫

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[ 2010/12/06 20:00 ] 書籍レビュー | TB(0) | CM(0)

「長く考える力」を鍛える~プロ棋士の長考術

梅田望夫さんのModernShogiダイアリーでも紹介されていたが、

10月のB級2組順位戦▲橋本七段対△野月七段戦
noduki

図から橋本七段が長考に沈み、120分+昼食休憩で▲3七桂
これに対して野月七段も170分(!)考えて△5一金
約5時間半あいだに2手しか進まない、気合と気合のぶつかる長考合戦となった。

・・・いくら考えても結論が見えてこないことが楽しくて仕方がない。勝手な読みながら、詰みに至るまでも、十通り以上は考えていたように思う。可能性を求めて考える状況が、ただ楽しかった。


対局中の野月の心情がひしひしと伝わってくる名文だ。勝ち負けを抜きにして、棋士の純粋さが感じられる。

順位戦中継などでプロ将棋を観戦していると、1~2時間程度の長考に遭遇することは少なくない。
なかには3時間、4時間と考える棋士もいる。
よくそんなに考えるな、いったい何を考えているのだろう
といつも思う。

プロ棋士のなかでも、仲間内から「長考派」と呼ばれるほどよく長考する棋士がいる。加藤一二三九段、郷田真隆九段、堀口一史座七段などが有名だ。
郷田九段は、今春の名人戦第1局でいきなり206分(!)の大長考で話題を呼んだ。

その郷田九段が、とある雑誌で棋士の長考についてこんなことを言っていた。
・・・「よくそんなに長い間考えられますね」と驚かれることがありますが、考えている本人には、ほんの一瞬に感じることも少なくありません。そのくらい対局に没頭しているということです。(中略)
いくら長い時間考えていることに慣れているとはいえ、人間が本気で集中できるのは、せいぜい一時間。どんなに長くても二時間だと思います。それ以上考えているということは、同じ局面を何度も考えては堂々めぐりになっていたり、良い(かもしれない)方法が見つからない、先が見えて(見え切って)いないとき。ただやみくもに考えていれば良いということではないのです。
 この「長く考える」力を鍛えるには、やはり実践が一番のような気がします。時間配分を念頭に置きつつ、集中して読みを続ける作業は、対局という本番の舞台でもっとも発揮されるのだと思います。
(ダイヤモンド社『経』2008年11月号「プロの勝負力」より)


野月と郷田、2人の文章を読んで分かることは、長考中はまさに無我夢中で対局に没頭しているということだ。
「結論が見えてこないことが楽しくて仕方がない」と言えるほど、将棋に没頭することができる棋士をみていると羨ましく思える。

「長く考える力」を鍛える―
最初読んだときに郷田さんらしい表現だなぁと思った。意味としては「集中力を鍛える」というのとほぼ同じなのだが、プロ棋士が備えている「集中力」は、スポーツの世界や仕事の集中力とはまた別物なのだろうということが伝わってくる。
実はこの文章は最後に(本人談)とあるので、本人へのインタビューをもとに編集したものだろう。そこは少し残念ではあるのだが、わずか2ページではあっても郷田の将棋観を知ることができて、なかなか面白かった。


話は変わるが、郷田さんには、自戦記でも良いからもっと棋書を出してその将棋観をファンに見せてほしいと思う。
本人が、自分の考えはアマチュアにはわかりにくい、と思っているのか本人に聞いてみないとわからないが、
郷田さんの棋書、講座を待ち望んでいるファンは少なくないはず。
いつか、郷田さん本人の書く「将棋論」を読んでみたい。


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[ 2009/12/15 07:00 ] 名人戦・順位戦 | TB(0) | CM(0)