スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

第53期王位リーグ最終戦

若手の活躍が目立った今年の王位戦。特に初参加の船江、牧野は最後まで優勝争いに絡んでリーグを盛り上げた。しかし、最後に抜け出したのは渡辺明と藤井猛。いずれもタイトル戦常連同士の挑戦者決定戦となった。

===================

白組5回戦 △藤井猛九段 対 ▲牧野光則四段盤面

最近は角交換振り飛車を採用することが多かった藤井九段が後手番で角道を止める四間飛車。この大一番に藤井システムを投入してきた。

対して牧野四段の作戦は右銀急戦だが、早めに▲5五歩と位を取る趣向をみせた。▲5五歩は角道を止めて振り飛車の△4五歩からの捌きを抑える意味がある。
5筋を除けば部分的には定跡だが、5筋がどう影響するか、というところ。先手は▲5四歩を絡めながら攻めていくが、当然これは取ってくれない。


△4三銀(42手目)には▲2三歩(△同飛に▲3二角の筋)と打ってみたかったが、それは△4四銀と飛車を取られて振り飛車が良くなるようだ。牧野四段は▲4五飛と引いたが、△2七角から5四に馬を作る手が絶品の味。以下は振り飛車優勢となり、84手で藤井九段の中押し勝ち。四間飛車のお手本となるような見事な指し回しでした。

紅組5回戦 △渡辺明竜王 対 ▲船江恒平五段盤面

後手の渡辺竜王が2手目△8四歩から角換わり腰掛け銀を受けて立った。渡辺竜王は6五の位を取る形を多く採用しているが、3月の棋聖戦で深浦九段相手に▲7五歩から新構想を出されて敗れている。その▲7五歩を公式戦で最初に指したのは船江五段なので(「船江新手」)、その将棋を期待したが船江さんが▲6六歩と突いて位取りにはならなかった。竜王は早めに△4四歩突いたので位取りにはしないつもりだったのかもしれない。

本譜は△7三桂保留型で先手が▲2五歩を突く定跡形。55手目までは前例があり、(C1順位戦、▲稲葉△豊島)その将棋は先手が勝ったが、本譜は渡辺竜王が△7五歩の新手を出す。この大一番で秘策を用意してきた。


対して先手は7五歩を取らず攻め合いを選ぶ。6六角の睨みでコビン攻め。歩頭に4五桂跳ねはこれで決まれば気持ちが良いが、駒損の細い攻めなので後手も受けやすかったようだ。

一直線の攻め合いの結果は後手勝ち。先手は▲5二銀から▲4一銀と迫ったが△6五桂が決め手。最後は一手勝ちをきっちり読み切って渡辺竜王の快勝となった。

深浦(棋聖戦)、戸辺(王位戦)に連敗したときには不調期に入ったかと思ったがその後見事に立ち直って3連勝。紅組は若手強豪が多く厳しいリーグだったが、最後は貫禄の違いを見せつけた。

===============

渡辺vs藤井の挑決は普通に考えれば渡辺竜王が有利だろう。戦型は牧野戦で見せた藤井システムはなく、角交換振り飛車になると思う。藤井九段の復活は嬉しいが、個人的には羽生渡辺の最高峰対決が見たいので、渡辺竜王にはあと1つ気を引き締めて頑張ってほしい。

スポンサーサイト
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2012/05/12 08:37 ] 王位戦 | TB(1) | CM(0)

第62回NHK杯1回戦 阿部光瑠vs牧野光則

青森が生んだ天才阿部光瑠四段がNHK杯初登場。訛りが抜けない話し方が初々しい。
対戦相手は関西若手強豪の牧野光則四段。今回は成績優秀のため予選免除で本戦出場。現在進行中の第53期王位戦ではリーグ入りする活躍をみせている。
1回戦の中では個人的に注目していたカードだ。

昨年は順位戦で5連敗スタートと苦しんだ光瑠くんだが、他棋戦では順調に勝ち星を積み重ね最終的には6割超えの勝率を残した。特に三浦、丸山、森内らを倒した朝日杯での快進撃は記憶に新しいところ。
ネット将棋(将棋倶楽部24)で強くなったということもあり、早指しに関してはプロの中でも強い部類に入る。24育ちという点では最近のNHK杯で活躍している糸谷哲郎、菅井竜也とも共通する。持ち時間の長い将棋に順応すればもっと勝率も上がるだろう。

さて、将棋は先手の光瑠四段の角交換四間飛車。後手は3一玉型で位を取る構想を見せたが、▲7五歩(31手目)が機敏な動きで先手がペースを握る。


中盤の▲5六金(51手目)が印象に残った一手。△6六歩と△5五角を防いで一石二鳥だが、形が崩れるので指しにくい手ではある。力強い。この金で後手の駒を押さえ込んで先手が優位を築く。


▲6六角からのコビン攻めも厳しくこのまま先手が勝ち切ると思われたが、牧野四段の△3九銀が鋭い勝負手。▲同玉なら△6九竜と王手してから△3四金と戻せる。光瑠四段は▲1八玉と逃げたが、△3九銀が入って形勢は混沌としてきた。

「逆転していてもおかしくない」と解説の中村九段。冷静に見ると先手が駒得で余してそうだが、実戦的には怪しい雰囲気が漂う。しかし、ここで崩れないのが光瑠四段の強さ。正確な受けで後手の食い付きを許さない。

後手は△1七銀(154手目)の勝負手で迫ったが▲同桂と取られて先手玉は寄らない。最後はこの桂馬が2五に跳ねる手がピッタリで勝負あった。

167手の大熱戦。24の早指しを見てるようなスリル満点の面白い将棋だった。

勝った阿部光瑠四段は2回戦で郷田棋王と対戦。強敵相手ですが、朝日杯のときのような番狂わせを期待します。
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2012/04/16 07:42 ] NHK杯 | TB(0) | CM(0)

大混戦の王位リーグ

第53期王位戦(対戦表)
53期王位戦の挑戦者決定リーグは現在3回戦が進行中。

最近のタイトル戦はいわゆる「羽生世代」の活躍が目立っているが、棋聖戦と王位戦では若手が出てくると思う。特に王位戦はそうなりそうな雰囲気がある。現在挑決リーグに残っている「羽生世代」は藤井、丸山の2人のみ。両者ともに順位戦で降級しており調子は良くない。

紅組は中村修九段以外は20代。若手強豪が勢揃いで白組よりも激戦区という印象がある。一昨日、戸辺六段が船江五段に敗れ、早くも全勝が消えた。普通に考えれば渡辺明竜王が本命だがここに来て連敗中(NHK杯決勝、棋聖戦vs深浦、王位リーグvs戸辺)。調子を落としているので他の棋士にも十分チャンスはある。中村九段以外は誰が勝ち上がってもおかしくない。

リーグ初参加の船江恒平五段もこのメンツの中では厳しいと思ったが、ここまで2勝1敗と健闘している。
金曜日のvs戸辺戦は終盤の面白い将棋だった。ゴキ中対超速で船江五段のほうがずっと良かったと思うが、終盤馬を取らずに"▲5二と"と強く踏み込んで勝ち。この切れ味鋭い終盤力が船江五段の持ち味だ。
1回戦の広瀬七段戦でも入玉模様の難解な終盤戦を制して勝ち。この将棋も面白かった。

このまま勢いに乗って挑戦まであるかもしれない。ラストの渡辺竜王戦がとても楽しみだ。

一方、白組は藤井猛九段と牧野光則四段が2連勝。リーグ開幕前は丸山、村山のどちらかが来ると思ったが村山五段は2連敗スタートで脱落。丸山九段も調子は今ひとつなので、藤井九段の挑決進出は十分あるだろう。しかし挑決で紅組の勝者に勝つのは厳しいか。個人的に羽生藤井の番勝負は見たいので頑張ってほしいですが。

もう1人全勝の牧野四段にも頑張ってほしいが、残り3局藤井、丸山、村山に勝ち越すのは難しいと思う。
残りの相手を見ると藤井九段が有利に思えるが、果たしてどうなるだろうか。
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2012/03/25 07:30 ] 王位戦 | TB(0) | CM(0)

7月24日 NHK杯 山崎vs牧野

NHK杯優勝経験を持つ山崎隆之七段に、私が勝手に「詩人牧野」と呼んでいる牧野光則四段が挑んだ一局。なぜ「詩人」かというと、「将棋世界」誌の四段昇段の記で詩を寄稿してたから。ここ何年かの「昇段の記」の中では最も衝撃的な文章だったと思う。

将棋は一手損模様の出だしから先手の牧野が5手目に角道を止めて矢倉戦となった。後手の山崎七段が一手損角換わりを得意としているので、それを警戒したのだろう。後手も飛車先不突きにできるので不満ないと思う。

後手は5三銀を早めに決めてから三手角(3三→5一→7三角)。攻撃的に行くなら△8四角から△6五歩を狙うが、山崎は△7三角型で△6二飛から6筋を交換する。これは攻めというよりも先手の駒組みを牽制する意味合いが強い。

6筋を交換してから穴熊に組み替えたのが現代的。固めるというよりも位の圧力から遠ざかるための穴熊。▲2五歩型なので▲2五桂からの端攻めもない。だが、このあたり解説の畠山鎮七段は先手持ち。後手からの攻め方も難しいというのがその理由のようだ。

畠山七段が言うように先手も悪くなかったと思うのだが、もたもたしているうちに後手に4筋から反撃されて劣勢になった。下図△4五歩(66手目)と強引にこじあけていったのが好手で▲4五同歩は△同銀▲同桂△同飛から飛車を横に使って後手優勢だ。


実戦は2筋を突き捨ててから▲4八飛と回って辛抱したが、△8五桂以下後手の攻めが続いて、やはり山崎優勢となった。

厳しい攻めを続けて山崎七段が快勝。牧野四段は良い所が出せないまま終わってしまった。初勝利は次回に期待しよう。

勝った山崎隆之七段は2回戦で森内俊之名人と対戦する。こちらも非常に楽しみだ。



このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2011/07/25 06:50 ] NHK杯 | TB(0) | CM(0)