スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

佐藤康光の力戦振り飛車



 ここ数年、自由奔放な指し回しで注目され、「平成の升田幸三」とも呼ばれる佐藤康光九段。アマのみならずプロからも「理解できない」という声を聞く「佐藤ワールド」を九段自ら解説する定跡書がついに発売された。

もくじ
第1章 1筋位取り力戦振り飛車 講座編
第2章 1筋位取り力戦振り飛車 実戦編
第3章 力戦向かい飛車穴熊 講座編
第4章 力戦向かい飛車穴熊 実戦編


「ガチガチの居飛車党本格派」(by勝又 『最新戦法の話』)と言われていた佐藤九段だが、ここ数年型に嵌らない多彩な戦法を指すことで注目されるようになった。独自の工夫を凝らす彼の将棋は「力戦」という呼ばれ方をすることが多い。実際本書のタイトルにも「力戦」という言葉が使われている。しかし、彼は「力戦」と呼ばれるのが好きではないようだ。本書のまえがきでもそのことに触れている
私は正直、力戦という言葉には抵抗がある。自分なりにしっかりと論理立てて指している意識があるからだ。しかし、あまり前例のない新しい分野であることは間違いない。常に初手より「力の入った戦い」の跡ということで納得する事とする。

この部分を読んだだけで思わずニヤケてしまう。某巨大掲示板では「変態」などという表現もされる佐藤九段の将棋
「力戦」という言葉から、思いつきで指しているとか、マイナスのイメージで捉えられるのが嫌なのだろうか。

さて、本書の内容
第1章では▲7六歩△8四歩▲1六歩△3四歩▲1五歩(※1)のオープニングから先手から手損して角を交換し向かい飛車に振る指し方を解説。
佐藤向かい
第1図で後手が△8六歩▲同歩△同飛と突っかけてきた場合、▲7五角と打って以下乱戦となる。先手飛と銀桂香の3枚換えで駒損だが指せるという有名な「三枚換え定跡」が解説されている。この定跡は非常に難解で、並の棋力のアマチュアには指しこなせないだろう。カバーにあるように、序盤での激しい変化を恐れず少しでも利を得ようという思想に基づいた戦法だといえる。

(※1)で4手目に△8五歩と突いた場合には、▲7七角から角交換されて▲7七桂型の向かい飛車となる。例のどこかで▲8五桂と跳ねる将棋になるが、その場合の狙い筋についても一応解説されている。この向かい飛車に対しては居飛車が△3三角と自陣角を打って7七の桂頭を攻める有力な対策があるが、本書ではそこまでは触れられていない。


第3章~第4章は「力戦向かい飛車穴熊」
角交換型の向かい飛車からお互いに穴熊を目指す将棋を解説している。一般的に相穴熊の将棋は「飛車先の歩が伸びているだけ居飛車がわずかに良い」とされている。しかし、本書で解説する角交換型の力戦向かい飛車の場合、振り飛車側は角道を開けたままなので居飛車が穴熊に組むのをけん制することができる。

rikisenmukai

C図から、居飛車が現代感覚で穴熊に組もうとした場合、居飛車は△4四歩を突く必要がある。そうなると、振り飛車のほうだけ角道が通っているだけ得をしているというわけだ。振り飛車は角のニラミを生かして攻勢を取ることができる。具体的には左銀を5七→4六と繰り出していって、3三の角頭を攻める筋が紹介されている。


この「力戦向かい飛車穴熊」は、1章の「1筋位取り力戦振り飛車」よりは考え方がわかりやすいと思った。他の角交換振り飛車にも応用できるのではないか。


第2章と第4章は実戦編。計8局が収録されている。実戦編のページ数が多いこと(半分以上を占めている)が本書の特徴。講座編で紹介しきれない内容を実戦編で補足するという感じ。個人的には、居飛車側を持ってこの角交換型の「力戦振り飛車」に苦しんでいるので、居飛車側のトップ棋士の対策が参考になった。

全体的に丁寧な解説で良書だと思う。佐藤流「力戦振り飛車」の思想がちょっとだけ理解できたような気がする。
佐藤将棋のファンは買っておいて損のない一冊だと思う。
スポンサーサイト
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2010/01/30 21:44 ] 書籍レビュー | TB(0) | CM(0)

王将戦七番勝負第2局、羽生王将が激戦を制す

久保利明棋王の先勝で迎えた第2局。
最後の最後まで分からない、大熱戦だった。

戦型は久保挑戦者のゴキゲン中飛車、対して先手の羽生善治王将は▲3七銀急戦を採用。
先手の勝率が高く、今流行している中飛車対策だ。▲5八金右、▲7八玉を省略し▲3七銀と上がる
「隙あらば仕掛ける」「省ける手はできるだけ後回しにする」という現代将棋らしい戦型といえる。

封じ手の局面の形勢は互角だと思う。
封じ手から▲4一角と打って馬を作り、先手がややリードしたかに見えた。しかし、久保も△7四銀~△8五銀打の重いパンチで先手の馬をおさえこもうとする。振り飛車党の戸辺五段曰く「間違いの無い手」だそうだが、美濃の弱点である上部を手厚くしつつ、玉頭からの逆襲も狙えるので、私も良さそうに見えた。
△7六銀と歩を取った手に対し、羽生は▲7七歩と辛抱(1図)

くぼ2-1

△9五桂を防いだ手だが、こう辛抱しなければならないのでは先手が悪いのではと思えた。玉は狭くなるし、8八の角が使えなくなる。しかし、羽生の構想は次に▲7九角と引けば、5筋を補強しつつ、玉が広くなるというものだった。
一見指しにくい手だが、本譜はこの構想が結果的には上手くいった。こういう柔軟な発想ができるところが羽生の強さなのだろう。

終盤は中継ブログを見ると、かなり難解だったようだ。96手目、中段に逃げて良いと思われた△6三玉よりも△8四歩が優っていたとは!

ともかく見ごたえのある一戦だった。久保も特に悪いところはなかったと思うが、羽生王将が一枚上手だった。
第3局以降も熱戦となるだろう。この2人の対戦は見てて面白いですね~。
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2010/01/30 00:55 ] 王将戦 | TB(0) | CM(0)

糸谷流炸裂! NHK杯糸谷vs鈴木

先ほど将棋倶楽部24のfreeで指していたら、糸谷流右玉をやられた。(私のほうは四間飛車)
日曜日のNHK杯の影響だろうか。
やられてみると結構めんどくさい。

日曜日、実は寝坊して起きたのが10時40分ぐらいだった。急いでテレビをつけ途中から観戦。
両者ものすごい早指しで、一気に目が覚めた(笑)

△4五歩と角道を開けた手に対する▲4五同桂と跳ねたのが鈴木八段の意表を突いた攻めだった。香取りを放置しての桂跳ねだが、次の▲5三桂不成が急所に利いてくる。昨年7月号の将棋世界で畠山鎮七段が糸谷将棋を「いきなり桂や飛車がポンポーン」と表現しているが、まさにそのような展開となった。

本譜、鈴木は糸谷の挑発に乗った感があり、もうちょっとじっくり構えれば良かったのかもしれない。早指しに早指しで応じていつの間にか糸谷のペースに飲み込まれてしまった。時間の短い将棋の恐ろしさだ。

感想戦の最後のほうで鈴木は
「糸谷流右玉、実戦になればなんとか対処できると思ったけど、なんとかならなかった。急所の分からない将棋だった」
とぼやいていた。鈴木さんは温厚な人柄で感想戦でも明るく振舞っていたけど、内心はかなり切れていたでしょう。
悔しさが滲み出ているボヤキだった。

糸谷哲郎五段は、谷川、鈴木と強豪を次々に倒して次は森内。昨年負けている相手だ。今回は彼独特の将棋観が通じるかどうか楽しみ。 このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2010/01/26 01:00 ] NHK杯 | TB(0) | CM(0)

大和証券杯 上田vs貞升

「さだます」が上手く変換されないので、以下「南ちゃん」で通します。

久々に観戦した大和証券杯女流最強戦。
システムトラブル問題が解決したのかどうかわからないが、今回から以前のように対局室で観戦できるようになった。

上田さんは振り飛車党で特に四間穴熊を得意としている。対して南ちゃんは居飛車党で振り飛車には急戦を用いることが多い。
上田が先手で予想通り四間飛車穴熊vs居飛車△5三銀左急戦の対抗系となった。

個人的には穴熊に急戦というのはあまりやる気がしない。玉形の違いがあって、一歩間違えると簡単に逆転されかねない。何より玉が戦場から遠いというのが大きい。美濃vs舟囲い急戦よりも正確な受けが要求される戦型だと思う。
しかし、観るほうからすれば、相穴熊の将棋なんかよりも面白いのも事実で、南ちゃんがどういう技を見せてくれるか注目しながら観戦した。

上田女流のほうは、南ちゃんの棒銀にやや戸惑って時間を使ったものの正確に対応。

さだます

ここから後手は△8六歩▲同歩△9五銀と仕掛けた。端歩の交換が入っていないのを生かそうとしたわけだ。次に△8六銀が厳しいので、▲6五歩と狙われている角を捌くのが振り飛車の常套手段。▲6五歩に△5五歩と止めたがこれにも▲5六歩がある。局後の検討で、△5五歩では△4四歩のほうが優ったとのこと。これならば本譜のように振り飛車に角を捌かせずに次の△8六銀が厳しかったようだ。

▲5六歩~▲5五角で振り飛車ペースとなったが、居飛車の駒得も大きく、難しい戦い。
しかし、後手が飛車取りと銀を打った手が明らかな疑問手で、一気に寄り形となってしまった。
最初のほうで書いたように、「急戦側が一歩間違えると大きな差がついてしまう」将棋となってしまった。

上田さんのほうは終始落ち着いた指し回しだったと思う。「穴熊に対しての棒銀は初めてだったので、 6八金の局面はどうさしていいのか、正直よくわからなかった」と言っていたが、準備不足ということは感じられない内容だった。

今期勝ちまくっている上田女流、現在の女流棋界で最も勢いのある棋士だと思う。最強戦、次の相手は強敵矢内女王だが、この勢いで決勝まで勝ち進みそうだ。
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2010/01/25 00:00 ] 女流 | TB(0) | CM(0)

羽生善治のみるみる強くなる将棋 序盤の指し方入門

将棋序盤の指し方入門 羽生善治のみるみる強くなる将棋序盤の指し方入門 羽生善治のみるみる強くなる
(2009/12/01)
羽生善治

商品詳細を見る


偶々手に取った本だが、良い本だった。

入門書の次に読む本」という位置づけで将棋の序盤における「局面に対応する基礎力」=意味のある駒の動かし方を初級者向けにわかりやすく解説した本。

駒の動かし方を覚え、簡単な詰将棋(1~3手)の解き方をマスターした初心者が次にやるべきことは「定跡を覚える」こととされる。「定跡の中でも棒銀と中飛車を覚えると勝ちやすい」とアドバイスする上級者も多いだろう。しかし、定跡を覚えたけれど、相手から定跡とは違う指し方をされて対応できなかったということはよくある。
特に初級者同士の戦いはお互い序盤で変な動きをしてしまうから、完全な力将棋になることが多い。

本書は、序盤の目的意識、駒の上手な活用法、指しての意味に重点を置いて解説し、序盤で意味のある駒の動かし方ができることを目標としている。「意味のある駒の動かし方」というのは「筋の良い指し方」と言い換えることができるだろうか。この本の格言、教えを早い段階から意識して一手一手指せば、センスの良い序盤の指し方ができるようになると思う。

個人的に一番興味深かったのは第1章の「初手はどう指すべきか」のところ。
▲5八金右は悪くないけど▲5八金左は最悪。▲7八金は良い手だけど、▲7八銀は悪い。こういうことって意外と最初のうちは分からないんだよね。ひとつひとつ、なぜ悪いか、なぜ良いかを丁寧に説明してくれている。こういう解説は今までになかったのではないか。

本書は漢字にルビが振られているので、子供を対象としている入門書なのだろうが、一読した感じではむしろ大人向けのという印象も受けた。一個一個論理的に説明している本なので、子供よりは大人のほうが合うかもしれない。

入門書を読んで動かし方は覚えたけど、どう指したらよいか分からないという人はぜひ本書を手にとってみると良いだろう。定跡を覚えるよりはこの本の教えを学んだほうがずっと役に立つと思う。

ちなみに、羽生さんは監修者で執筆は観戦記者の上地隆蔵氏。上地さんは奨励会出身者で指導棋士の資格も持っているので安心して読むことができる。

オススメ度AA


↑同じシリーズの『終盤の勝ち方入門』もおすすめ。
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2010/01/18 22:25 ] 書籍レビュー | TB(0) | CM(0)