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相穴熊ワールド

王位戦の挑戦者決定戦、戸辺誠六段の挑戦を期待していたがプレーオフで残念ながら羽生名人に敗退
そして、その羽生名人を広瀬章人五段(当時)が得意の振り飛車穴熊で破り、挑戦者に。

一昨日のNHK杯は伊藤真吾四段vs阿部隆八段。伊藤四段が5筋位取り中飛車を採用、対する阿部八段が居飛車穴熊を採用したことで相穴熊戦となった。以前は、「ゴキゲン中飛車>居飛車穴熊」と言われていたが、最近本譜のように角の引き場所を作るなど、居飛車側が組み方を工夫するようになり、穴熊で中飛車に対抗する将棋が増えた。

伊藤四段が二枚角から細い攻めをつなげて、快勝。相穴熊の将棋は一度手番を握られてしまうと攻め一方、受け一方となり大差の将棋になってしまうが、本譜はその典型だったように思う。実力者の阿部八段だが本来の実力を発揮できなかった。

一昨日は、もう一戦、夕方からネット将棋最強戦の深浦-広瀬戦も相穴熊となった。
深浦王位が先攻し、先に桂香を拾い駒得。対して広瀬プロは敵玉近く5八にと金をセットし、先手を焦らせ、ついには手番を握り、じわじわと先手の穴熊を崩していった。
穴熊のスペシャリストらしい絶品の指し回しで、最後は一手差にもならず快勝。渡辺、羽生、深浦と破り、穴熊戦に関してはトッププロと変わらない実力を持っているといっても過言ではないだろう。

最近、相穴熊の将棋が多い。来る王位戦でも、相穴熊の将棋が少なくとも1回はみられるはずだ。
穴熊の将棋というと豪快とか荒っぽいというイメージがあるが、実際はものすごく繊細な将棋である。
先日ようやく広瀬プロの「とっておきの相穴熊」(遠藤正樹アマとの共著)を購入し、読んでみたのだが、今までの穴熊戦に対する「詰まらない」という印象が変わった。穴熊将棋の奥深さに触れることができたような気がする。

「相穴熊は、経験値が高いほうが有利」とは遠藤アマの言葉。広瀬さんの経験値が深浦王位にどれだけ通用するか、いまから番勝負が楽しみ。





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[ 2010/06/15 21:19 ] 将棋 | TB(0) | CM(0)

A級順位戦 1回戦 藤井九段vs久保二冠

昨日行われた順位戦の開幕カード藤井久保戦

開幕早々、藤井九段が独創的な構想をみせてくれた。
直近の対戦では2局続けて矢倉となったこのカードだが、本局は3手目▲6六歩に久保が三間に振ったことで相振りになった。

普通に美濃に組んだ久保に対して、藤井は▲3八金から▲4八銀のカニ囲いを選んだ。▲3八金を先に上がるのが珍しく相振りでは先に▲2八銀~▲3七銀、もしくは▲3八銀から美濃に囲うことが多いが、藤井は形をできるだけ決めない方針。相振りでこのような囲い方は珍しいのかもしれないが、左右反転させた相居飛車の将棋(例えば飛車先保留の角換わり腰掛銀の将棋)では▲6八銀-▲7八金で銀上がりを保留するのはよくある指し方だ。相居飛車を反転させた将棋としてみれば、先手の構えは自然な構えである。藤井九段の序盤感覚の鋭さを改めて感じさせられた。

41手目の▲7五歩で先手の方針がようやく見えてきた。もしかして角を打つのかなと思ってみていたら、やはり角打ち。次に▲7四歩からの攻めをみている。▲7五歩に対して△1四歩と端を突いた手が手渡しに近く、この局面では「形勢は互角だが先手が主導権を握った」という感じだろうか。

ここから藤井は▲7四歩~▲7三歩成を実行。しかし、8八の飛車が敵角の射程に入っているので飛車のコビンを攻める反撃がある。61手目の局面金桂交換で後手の玉形はむしろしっかりした感もあり、局面が収まれば後手のほうがよくなりそうに見えた。

しかし、ここから藤井が得意の「ガジガジ流」の攻めをみせる。先手の駒損ではあるが攻めが筋に入り、後手陣は一気に崩壊。控室の形勢は一気に先手優勢に傾き、将棋ソフトの評価値も先手に大きく傾いたようである。しかし、ここからの先手の指し方が難しかった。感想戦でも結論が二転三転していたようで、先手優勢のようにみえて実は形勢はかなり難しかったようだ。この辺りは、後日専門紙で詳しい解説を読みたい。

待望の桂跳ねから久保反撃のターンとなったが、ここからの久保の迫り方が上手かった。104手目の△5九銀!が検討陣も予想していなかった勝負手。先手は飛車を取ってしまうと詰まされてしまう。

厳密にはこの手自体は微妙で、藤井が金打ちで受けた手が疑問手だったようだが、秒読みのなかでこの手を指せるのはやはり凄い。並の精神力では指せないような最強の勝負手だったと思う。

以下は、「後手勝ち」の順となり、危なげなく寄せきって白星スタート。名人挑戦に向けた大きな一勝となった。

羽生さんが以前何かのインタビューで「将棋は最強の手を指すとそのぶん反動も大きい」というようなことを話していたが、本局はまさにそのような展開だったように思う。藤井九段らしい独創的な構想から、最強の攻めを見せたが、先手陣は手がつくと早かった。ある意味藤井九段らしい負け方だった

しかし、あれだけ苦しそうにみえた局面で反撃手を見つけ出し、指せる久保さんは凄い。本当に勝負強い。

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[ 2010/06/02 23:26 ] 名人戦・順位戦 | TB(0) | CM(0)