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レビュー『最新の矢倉3七銀戦法 (プロ最前線シリーズ)』

最新の矢倉3七銀戦法 (プロ最前線シリーズ)最新の矢倉3七銀戦法 (プロ最前線シリーズ)
(2010/12/23)
屋敷 伸之

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「プロ最前線シリーズ」の第3弾。横歩取り8五飛、相掛かりの次はタイトル戦でも頻出の矢倉3七銀戦法だった。著者の屋敷伸之九段は昔から居飛車振り飛車問わず何でも指しこなしていたが、特に矢倉を得意とされている。

本書は矢倉戦法の中でも主流の▲3七銀戦法を、最新の動向を中心にコンパクトにまとめた一冊である。

最新の矢倉3七銀戦法―目次
第1章 矢倉3七銀戦法の基礎知識
第2章 加藤流
第3章 ▲4六銀を巡る攻防
第4章 最新の矢倉3七銀戦法
 第1項 ▲3八飛に△9五歩型
 第2項 ▲3八飛に△8五歩型
第5章 実戦編
 参考棋譜


第1章では、矢倉3七銀戦法の基礎知識ということで、基本図(本書p20の第9図)に至るまでの駒組みをさらっと解説している。ここは簡単なおさらい。

yagura_37gin_1

第2章は「加藤流」。上図から▲1六歩△8五歩▲2六歩と飛車先の歩を先に突いた形をさす。(もっとも本家加藤九段はもっと早い段階で飛車先の歩を突くが)
加藤流に対する後手の対策は、右銀(6二の銀)を攻めに使う(7三に上がる)か、それとも守りに使うか(△5三銀と上がる)かに分かれる。現在のプロ棋界では△5三銀と上がって守勢に回るのが後手有望とみられているようだ。そのため近年先手は加藤流を避けることが多いとのこと。△5三銀型への対策として、著者は先手が穴熊に組む新構想を示している。

第3章では、基本1図から▲4六銀と上がる手に対して△4五歩の反発が成立するかどうかを検討。△4五歩には▲3七銀と引いて次に▲4六歩から反発して先手が指しやすいとみられている。よって現在は▲4六銀には△5三銀と守勢に回るのが主流である。

第4章では、本題の矢倉の最新定跡の解説。注目したのは、今期竜王戦七番勝負第2局でも登場した、例の△3七銀と打つ変化。

yagura002

第2図では今までは素直に△1五同歩が多かったが、最近になって増えているのが▲1五歩に△3七銀ともたれる指し方。2年前に出版された森内俊之九段著の『矢倉の急所―4六銀・3七桂型 (最強将棋21)
では「銀が重くなるので、後手を持ってこの変化を選ぶ棋士は少ない」と述べられていたが、最近では後手の勝率が高く矢倉▲3七銀の課題局面となっている。竜王戦の時点では先手が6連敗しており、第2局も△3七銀で後手渡辺の勝ちとなった。

△3七銀には竜王戦でも指された▲3九飛と、もう一つ▲5八飛と横に逃げる手もあり両方とも解説されている。但し、竜王戦の▲1五香(59手目)と走って▲6五銀と角取りに打つ順は紹介されていない。10月末だったので原稿が間に合わなかったのだろうか。

第5章は著者の実戦譜。一番古いものは平成9年の郷田六段(当時)戦から今年の将棋まで21局収録されている。21局も収録されているのは嬉しい。ちなみに全局屋敷プロが先手番。
※ちなみに参考棋譜⑦屋敷日浦戦と⑩屋敷高野戦、棋譜の最初▲7六歩△8四歩▲6八銀が抜けていました


全体的に簡にして要を得た内容で、最新の矢倉▲3七銀型を頭の中で整理することができた。欲を言えば、もう少し局面ごとの考え方を示してくれれば良かったと思う。変化が多岐にわたる矢倉定跡を一冊にまとめるとなると解説もあっさりめになるのは仕方ないか。有段者向けであることは確かだ。

プロ最前線シリーズは本書が3冊目となる。8五飛戦法と相掛かりに関しては長らく関連棋書が発売されていなかったため非常に有難かった。解説も分かりやすく、プロ将棋の観戦ガイドとして役立っている。矢倉に関しては森内九段の『矢倉の急所』など出ていたが、最新の変化をおさえた本書もガイドブックとして役に立ちそうだ。

矢倉は変化が膨大で、基本1図に至る駒組みだけでも一冊本が書けるほど奥が深い。「よく一冊にまとめたなぁ」というのが率直な感想。

以下、関連書籍の紹介。矢倉の基本1図までの駒組と考え方を知りたいなら森下さんの本がお勧め。



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[ 2010/12/28 08:00 ] 書籍レビュー | TB(0) | CM(0)

NHK杯 堀口一史座vs糸谷哲郎

超がつくほどの早指しで前期谷川森内渡辺を下して準優勝した糸谷の登場だ。
対するシーザー堀口も早指しは強い。10年以上前だが、早指し棋戦(銀河戦)で15連勝、NHK杯でも準優勝の経験を持つ。共に、NHK杯戦準優勝の実績のある似た者同士の両者の対戦。


戦型は一手損角換わりとなった。最近復活の兆しが見られる腰掛銀の将棋。
36手目は△7三桂が多いところで、△7三桂なら同型の将棋となる。本譜は△4三金右で後手は専守防衛の構え。

先手は▲4八金~▲2九飛。角交換系の将棋ではよくみられる隙のない構えである。
対して後手は42手目△1二香。これは穴熊を目指したというよりは手待ちの意味が強いようだ。「1一玉と入城しても3二金が浮き駒なので▲4一角が厳しくなる」と解説の広瀬王位。△4二金引のような手待ちが普通だが、それだと▲4五歩から仕掛けられる。

そこで堀口は仕掛けを見送り▲6八銀と引いたが、後手からするとありがたかったのかもしれない。△8五歩▲7七銀でこの部分だけみると後手が一手得している。そこで△6五歩から仕掛けていった。

△7五歩(48手目)に堀口は▲6四角。角で7五の歩を払って歩得だが、このあと桂跳ねから7二の飛車で切られてしまう。64手目△6六角(第1図)と王手で打たれて、△5七角成と成られた局面は既にプロ的には先手が勝てない将棋のようだ。次の△6六桂が厳しい。
堀口糸谷1

序盤から早指しの糸谷だったがその後も、時間を使わずにビシバシと指してくる。これに渡辺、郷田ら一流棋士もやられた。

69手目▲5八歩では桂打ちを消して▲6七歩と辛抱するのが優ったが、それでも糸谷優勢は変わらなかったようだ。最後は6五の銀を取られて馬を作られたのが決め手で以下堀口が形作りして終局。

考慮時間を7回(ちなみに堀口は残りゼロ)、放送時間を40分余しての糸谷の圧勝!

30分以上の長い感想戦。堀口はものすごく悔しそうにしていて、糸谷だけが喋るのが観てて面白かった。そのうち堀口もボヤキはじめたが。たぶんカメラの向こうに残り時間が示されているのだろう。チラチラ時間を気にしていた。

これで糸谷は2年連続のベスト8進出。次の相手は一昨年、このNHK杯で糸谷にやられた郷田である。優勝の可能性も十分にあるのではないか。





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[ 2010/12/26 23:25 ] NHK杯 | TB(0) | CM(0)

NHK杯 渡辺明 vs 島朗 米長流矢倉

「あきら対決」となった渡辺島戦。

島九段は正統派の居飛車党で序盤巧者のイメージ。後手島九段が△6四歩から△6三銀と上がって急戦矢倉の出だしとなった。

2回戦対小林六段戦ではこの急戦矢倉からの鋭い攻めが炸裂し快勝を収めている。

対して竜王は▲4六歩と備える。これを見て後手は持久戦に切り替える。後手は急戦で攻めつぶすことはできなくなったが、▲4六歩突かせたことに満足する。

結局、先後同型矢倉となった。△3一玉型のまま自玉側の端の位を取ったのが後手の趣向か。この戦型の場合▲8八玉(△2二玉)と入城する一手よりも▲9六歩(△1四歩)のほうが価値が高い。本譜もそうだったが将来的に2筋(8筋)からの反撃があるので逆に当たりが強くなってしまう意味もある。棒銀がないので端歩の交換は損にならない。

43手目▲4五歩から開戦。お互いに桂を跳ね、全軍躍動、矢倉らしい将棋となった。

7筋に飛車を回った手に対して▲6三歩と垂らしたのが軽妙手(第1図)。と金を作られてしまうので後手は7四の歩を取れない。この手で7筋からの反撃を抑えることができた。
sima_watanabe_1


そこからは相居飛車戦らしく、お互いノーガードの攻め合いとなった。74手目△7五桂に先手も▲3五桂と一歩も引かない。解説屋敷九段の言葉を借りれば、「手抜きのオンパレード」でどちらが一手早く勝っているかという将棋になった。果たしてどちらが勝っているのか?

88手目△2三金とがっちり受けた手に対して▲4四角!
派手な手が出た。△同金ならば▲3三銀と打ちこむ。

実戦は△3三歩と合い駒したが即詰みに打ち取られてしまった。▲4四角から数えること29手詰め!渡辺竜王らしい切れ味鋭い寄せを見せてくれた。

感想戦によれば▲4四角には△同金が優ったという。▲3三銀 △3一玉 ▲2三飛成(第3図)で後手玉は受けなしになるがそこで先手玉が詰むかどうか。
sima _watanabe3

△8九角と捨てる手があって▲同玉は△8八銀以下詰み。△8九角 ▲6八玉と逃げて詰むや詰まざるや。▲6八玉と逃げても詰みがあったようだ。残念ながらここで感想戦は終わってしまった。実戦では自玉に必至がかかるだけに△同金とは取れないだろう。このあたりは講座テキストでの詳しい解説を待ちたい。

変わりゆく現代将棋 上変わりゆく現代将棋 上
(2010/04/23)
羽生 善治

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↑本局の米長流急戦矢倉から同型の展開についてもかなり詳しく羽生さんが検討されています。ただし、読みづらいです^^;
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[ 2010/12/20 06:30 ] NHK杯 | TB(0) | CM(0)

A級順位戦6回戦終了まとめ

今年も残すところあと僅かとなった。名人挑戦権を争うA級順位戦は6回戦が終了。

11日の記事で、藤井九段が2勝目を挙げ、森内九段が1敗を守ったと書いたが、
その他の結果は以下のようになった。

郷田 真隆九段(3勝3敗)○-●渡辺 明竜王(4勝2敗) (12月10日)
谷川 浩司九段(4勝2敗)●-○丸山 忠久九段(3勝3敗)(12月15日)
三浦 弘行八段(2勝4敗)●-○久保 利明二冠(3勝3敗)(12月16日)

現時点での順位は下表のとおり。
【5勝1敗】森内(3位)
【4勝2敗】谷川(6位)、渡辺(9位)
【3勝3敗】丸山(4位)、郷田(7位)、久保(10位)
【2勝4敗】三浦(1位)、高橋(2位)、木村(5位)、藤井(8位)


順位戦は、同星の場合、順位上位者が昇級(下位者が降級)する仕組みになっているが、A級順位戦の場合は挑戦者決定プレーオフを行う。但し、順位下位者から勝ち残るパラマス式トーナメントとなる。

過去の例で説明すると第50期のA級順位戦(平成4年)は、谷川浩司(2位)、南芳一(4位)、高橋道雄(6位)、大山康晴(7位)の4人が6勝3敗で並び、パラマス式プレーオフが行われた。まず、下位の高橋大山戦、そしてその勝者が南と対戦、そしてその勝者が最上位の谷川と対戦した。結果は高橋が3連勝で挑戦権を獲得した。

(参考:Wikipedia フリー百科事典 「プレーオフ」

今期、仮に森内、谷川、渡辺の三者が相星で並んだ場合、順位最上位の森内がシードで谷川渡辺の勝者と対戦することとなる。

挑戦者争いは上位3人に絞られた感がある。その中でも森内九段が一歩リードしている。10月から11月にかけて9連敗の不調に陥った森内九段だが、連敗を脱出し、ここからは調子が上向いていくのではないか。得意の先手番を2つ引いているのも大きい。

7回戦は、対戦相手の藤井九段も残留がかかっているだけに大一番。前期は6回戦終了時点で谷川九段が1敗単独トップだったが、年明けの7回戦で1勝5敗の藤井九段に敗れ、そこから3連敗と失速してしまった。という前期の例もあるので森内九段も油断はできない。(個人的には藤井九段の残留のほうが気になっているのですが・・・「藤井せんせー!」)

2敗勢もまだまだチャンスは十分。昨日の記事にも書いたように渡辺羽生のタイトルマッチを竜王戦以外で観てみたいので渡辺さんには気持ちを切らさず頑張ってほしい。

愛蔵版 第68期 将棋名人戦七番勝負愛蔵版 第68期 将棋名人戦七番勝負
(2010/07/31)
毎日新聞社

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[ 2010/12/19 08:00 ] 名人戦・順位戦 | TB(0) | CM(0)

渡辺明竜王7連覇達成

14日(火)から15日(水)にかけて行われた竜王戦第6局は渡辺明竜王が勝ち、4勝2敗で防衛。

これで渡辺竜王は竜王戦7連覇!
今回の竜王戦は竜王獲得通算6期の渡辺竜王と同じく6期の羽生善治名人の戦いでどちらが先に7期目を獲るかという勝負でもあった。現時点では渡辺さんが竜王戦史上No.1の実績を残したことになる。
また、タイトル戦7連覇以上を達成したのは、大山、中原、羽生についで史上4人目。これもなかなかの偉業だ。

・七番勝負総括
全局振り返ってみると、渡辺竜王が内容でも圧倒していたように思う。負けた第3局、第4局も途中までは竜王優勢だった。羽生名人も、らしい粘りを見せてくれた。第3局、あのじっと一歩を入手しての逆転劇は見事だったし、第5局、第6局も劣勢の局面から色々な罠を仕掛けて僅差まで追い上げた。しかし竜王が容易には崩れなかった。終始落ち着いた指し回しで「横綱相撲」いや「横綱将棋」という感じだった。

・2手目△8四歩問題
今回のシリーズ、渡辺竜王は後手番(第2,4,6局)では3局とも2手目に△8四歩と突いた。

梅田望夫さんの『どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語』でも触れられていたが、今の将棋界では初手▲7六歩に△8四歩と突くオープニングが減っている。第4局、第6局のように3手目▲7八金(あるいは▲2六歩)からの「角換わり腰掛け銀同型」の将棋となったときに後手の分が悪い。そのために、2手目△8四歩を指す棋士が減っているのだ。
渡辺竜王は2手目8四歩派の居飛車党だったが、今年に入ってから2手目△8四歩を封印、△3四歩の将棋を多く指していた。それだけに第2局で羽生名人の▲7六歩に△8四歩と突いたときに、どのような秘策を用意しているのか注目が集まった。

渡辺竜王が用意してきた作戦は同型の激しい変化(「富岡流」)ではなく、専守防衛型の作戦だった。先手に良いように攻められてしまうので面白くないとされていた作戦。第6局は△7三歩のまま金を動かして千日手含みで相手の攻めを待つという指し方だった。

竜王ブログの第6局の感想によれば、△5二金型で手待ちするのが作戦だったようだ。先手は激しく攻めることができず、竜王の狙い通りになったようだ。

このシリーズ、竜王が「2手目△8四歩問題」に対して1つの答えを出した。第6局角換わりの後手番で勝ったのは非常に意義深いことだと思う。

しかし、これで2手目△8四歩が増えるかと言われれば、そう簡単には増えないと思う。第6局を見てわかるように、2手目△8四歩の後手番は先手に攻め潰されないように非常に神経を使わなければならない。先手の攻めを堂々と受け止めるのは大変なことだ。(このブログをプロの方が見ていたら怒られるかもしれないが)相手の攻めを堂々と受けてたつ「横綱相撲」というのは横綱にしかできない芸当だから「横綱相撲」と呼ばれるわけで、そう簡単に真似できるものでないと思う。

それでも「2手目△8四歩」に希望の光が差したのは間違いない。2手目に△8四歩と突く居飛車党にとっては苦しい状況が続くと思われるが、今後後手がどのような工夫を見せるか注目していきたい。


・来期以降
これで、渡辺竜王は羽生、森内、佐藤という、いずれもここ十数年の将棋界をリードしてきた永世称号持ちをそれぞれ2回ずつ破ったこととなる。(あと1回は木村一基八段)この3人との激闘を制しての7連覇は見事。実力だけでなく余程の精神力がないと成し遂げられない偉業だと思う。

渡辺羽生の番勝負をもう一度見たいという意見も多く見かけたが、個人的には来年の竜王戦は羽生佐藤森内以外から出てきてほしい。羽生渡辺の竜王戦はまた2年後に(笑)、というか渡辺さんが竜王戦以外で勝ち上がれば羽生さんとの番勝負をもっと見られるわけで。

羽生世代より少し下の世代、久保、深浦が出てきたらどうなるか。そしてもっと若い世代、山崎、広瀬、豊島・・・。4組に在籍する広瀬や豊島が来期挑戦権を獲得するのは至難の業かもしれないが、これらの若手が竜王とどう戦うか、早く見てみたいものだ。

最後に、約2ヶ月間、濃密な番勝負を観戦することができて楽しかったです。両対局者ともお疲れ様でした。

どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?―現代将棋と進化の物語
(2010/11/25)
梅田望夫

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永世竜王への軌跡永世竜王への軌跡
(2009/07/25)
渡辺 明

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[ 2010/12/18 08:00 ] 竜王戦 | TB(0) | CM(0)