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第61回NHK杯 甲斐智美vs島朗 

NHK杯1回戦最後のカードは女流枠を勝ち上がった甲斐智美女流王位と初代竜王の島朗九段の対戦となった。

甲斐女流王位を始めとして強い若手が増え、女流棋士全体のレベルは確実に上がっている。例えば、先日の朝日杯では上田初美女王が金沢五段に、岩根忍女流二段が熊坂五段に、そして中村真梨花さんが伊藤能五段に白星を挙げている。だが、今日の相手が島朗というのはキツい。順位戦はB級2組に落ちたが、昨年度の勝率を見ても分かるように力はまだまだ衰えていない。フリークラスの棋士相手なら勝てても、島さんクラスに勝つのは厳しいだろう、というのが私の戦前の予想。

戦型は甲斐女流が後手番ということでゴキゲン中飛車、対する島朗九段の対策が注目されたが、今流行りの「超速3七銀」ではなく、4筋の位を取って▲4六銀と出る急戦だった。プロの将棋ではあまり見ない古風な作戦。流行形だと若手(甲斐)の研究にはまる可能性もある。自分の土俵で戦いたいというのがあったのだろう。

解説の阿久津主税七段も「見たことがない」というこの形だが、島九段は鈴木大介八段相手に一度この戦法を指して勝っている。(2007年、第56回NHK杯本戦3回戦)。この形は、通常の▲4六銀急戦と比べて歩越し銀でないので筋は良いと思うのだが、(▲4六歩、▲4五歩の2手指してるぶん)攻め足が遅いのでスピード重視の現代将棋ではあまり指されないのかもしれない。

甲斐島001

次に▲3四歩と打たれると居飛車優勢なので△5六歩と突いて捌きに出る。▲4四歩に△3四歩▲同銀と取らせて目標となっている角を捌くことができた。このあたりは振り飛車もまずまずだろう。

甲斐島002

振り飛車が5四の歩を取った局面、飛車が走れるので厳密には居飛車が良いのだろう。しかし、玉形の差があるので実戦的には互角。ここで▲2四飛には△2三歩~△1四角の反撃が気になったか、島九段は▲4三角~▲5五歩。▲5五歩は「敵の打ちたいところに打て」で、▲3四角成から5六に馬を引きつければ居飛車が手厚く負けにくい。本局、島九段は一貫して「負けにくい手」を選んでいるようだ。

後手からは△4六角から、3四の馬を狙って△3一飛と反撃したかったが、▲4三歩(53手目)と叩いたのが好手。△3二金とかわしたが、3一飛の筋がなくなりはっきり居飛車が良くなった。

▲4一飛(69手目)が先手で入ってしまってはさすがに粘りようがない。その後数手で甲斐女流王位が駒を投じた。終わってみれば島九段の快勝譜。

後手もまずまずの形勢で進めていたが、どこで悪くなったのだろうか?感想戦によると▲5五歩に△4二金(48手目)のところで△3三桂とすべきだったようだ。次に△4五桂と跳ねて中央からガリガリ反撃する。この桂馬を捌けずに最後まで残ってしまったのは痛かった。

島九段の駒落ち上手のような緩急自在の指し回しに、甲斐女流が翻弄された一局と言えるかもしれない。感想戦でも上手(うわて)の余裕が感じられて、指導対局を見てるような雰囲気だった。残念ながら力が及ばなかった甲斐さんだがこの経験を生かして頑張ってほしいですね。




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[ 2011/07/31 23:50 ] NHK杯 | TB(0) | CM(0)

7月27日 第52期王位戦第2局 王座戦挑決

王位戦中継サイト

王位戦第2局は後手羽生善治二冠の一手損角換わり一手損角換わりは最近減っていたので意外に思ったが、最近の羽生二冠は色々な戦型にチャレンジしようとしているのかもしれない。

相早繰り銀の将棋で、途中までは前期NHK杯決勝▲羽生善治対△糸谷哲郎戦と同一進行。今度は羽生さんが逆を持つことになった。
封じ手の局面は先手の模様が良く、後手は陣形的にまとめにくい。後手を持ちたいという人はあまりいないような気がする。

やはり後手は居玉が祟ったようで、先手からの鋭い攻めが決まり一気に先手優勢になった。▲3五歩(79手目)で「勝負あり」と思ったが、そこから羽生二冠が猛烈な追い上げをみせ、混戦に。

しかし、ギリギリのところで先手が凌いでいたようで広瀬王位が逃げ切り勝ち。最後は▲6六桂の中合いが決め手となった。羽生世代のライバル、例えばS九段やF九段ならあそこから逆転負けを食らったかもしれない。広瀬王位も何度か明快な勝ち筋を逃していたようだが、簡単に崩れないのは流石だ。

これで広瀬王位は2連勝。広瀬さんをはじめとして終盤の強い若手が増え、羽生さんも彼らに負けることが多くなってきた。世代交代なんでしょうかね。

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王座戦中継サイト

王座戦の挑戦者決定戦は渡辺明竜王が久保利明二冠を倒し、8年ぶりの羽生渡辺の五番勝負となった。

戦型はゴキゲン中飛車対超速3七銀の対抗型。後手が△4四銀型に構えたので相穴熊となった。
49手目の▲2二銀が重いように見えて成立していたようだ。久保二冠はこの手を軽視していたようで、以下は竜王ペース。最後まで危なげなく指し手を進めた渡辺竜王の完勝。

久保二冠にとっては残念な結果となったが、竜王戦で勝ち残っているので、ぜひそちらでリベンジを果たしてほしい。

王座戦は、羽生善治王座が6年連続ストレート防衛で現在19連勝中と圧倒的な強さを誇っているが、今年は苦しい戦いになるかもしれない。渡辺竜王相手にストレートというのは難しいだろう。どちらが勝っても最終局までもつれる展開を期待したい。


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[ 2011/07/29 23:52 ] 王位戦 | TB(0) | CM(0)

7月24日 NHK杯 山崎vs牧野

NHK杯優勝経験を持つ山崎隆之七段に、私が勝手に「詩人牧野」と呼んでいる牧野光則四段が挑んだ一局。なぜ「詩人」かというと、「将棋世界」誌の四段昇段の記で詩を寄稿してたから。ここ何年かの「昇段の記」の中では最も衝撃的な文章だったと思う。

将棋は一手損模様の出だしから先手の牧野が5手目に角道を止めて矢倉戦となった。後手の山崎七段が一手損角換わりを得意としているので、それを警戒したのだろう。後手も飛車先不突きにできるので不満ないと思う。

後手は5三銀を早めに決めてから三手角(3三→5一→7三角)。攻撃的に行くなら△8四角から△6五歩を狙うが、山崎は△7三角型で△6二飛から6筋を交換する。これは攻めというよりも先手の駒組みを牽制する意味合いが強い。

6筋を交換してから穴熊に組み替えたのが現代的。固めるというよりも位の圧力から遠ざかるための穴熊。▲2五歩型なので▲2五桂からの端攻めもない。だが、このあたり解説の畠山鎮七段は先手持ち。後手からの攻め方も難しいというのがその理由のようだ。

畠山七段が言うように先手も悪くなかったと思うのだが、もたもたしているうちに後手に4筋から反撃されて劣勢になった。下図△4五歩(66手目)と強引にこじあけていったのが好手で▲4五同歩は△同銀▲同桂△同飛から飛車を横に使って後手優勢だ。


実戦は2筋を突き捨ててから▲4八飛と回って辛抱したが、△8五桂以下後手の攻めが続いて、やはり山崎優勢となった。

厳しい攻めを続けて山崎七段が快勝。牧野四段は良い所が出せないまま終わってしまった。初勝利は次回に期待しよう。

勝った山崎隆之七段は2回戦で森内俊之名人と対戦する。こちらも非常に楽しみだ。



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[ 2011/07/25 06:50 ] NHK杯 | TB(0) | CM(0)

リベンジ 永瀬拓矢vs佐藤康光 第24期竜王戦決勝T

NHK杯での2千日手が話題を呼んだ永瀬拓矢四段、今期の竜王戦でも快進撃を続け、決勝トーナメントでは稲葉陽五段、佐藤秀司七段を破って3回戦進出。そして、今日の対戦相手は元竜王の佐藤康光九段。あのNHK杯以来、2度目の対戦だ。最高棋戦の大舞台でもその力を見せつけることができるかどうか。佐藤九段としても若手相手に2連敗はしたくないだろう。

棋譜:佐藤康光九段 対 永瀬拓矢四段

先手となった永瀬四段の3手目▲7五歩は予想通り。対する佐藤康光九段の4手目に注目したが、相振り含みの△5四歩だった。4手目の棋譜コメントにもあるように、佐藤九段は石田流には△8四歩を選ぶことが多いので、相振り飛車というのは意外だった。△8四歩は居飛車の最強手だが、序盤早々激しい展開になりやすい。本局は研究一発で決まるような将棋ではなく、じっくりした展開に持ち込みかったのだろう。

後手は玉の囲いと△5五歩を省略し、2筋に勢力を集めて玉頭を攻める構想。2筋を突き捨ててから△7三歩(36手目)は渋い。じっと自陣のキズを消し、着々と攻めの態勢を築く。

△1五歩(46手目)から端をからめて先手玉に襲いかかる。この攻めが思いの外厳しかった。先手は▲4六香から角をいじめる手に期待したようだが、角を追っても△5五角から切って△2一香の数の攻めがある。棋譜コメントによれば▲4六香に代えて▲1六歩が優ったようだが、この手で受け切れていたかは微妙なところである。

後手の攻めが筋に入って、さすがの永瀬四段も受け切れない。先手は早逃げに望みを託したが、駒をポロポロ取られながら寄せられて敗勢。


△5八成桂に対し、▲6五桂(79手目)と「詰めろ逃れの詰めろ」をかけて見せ場を作ったが、△7二金打と受けられて次が続かない。最後はきれいな一手勝ちで佐藤九段の勝利、NHK杯のリベンジを果たした。

ここまで快進撃を続けてきた永瀬四段だったが、1組棋士の壁は厚かった。しかし、この経験を生かして近い将来タイトル戦に出てくるだろう。来期以降の活躍に期待したい。

勝った佐藤康光九段は26日に深浦康市九段(1組4位)と対戦する。今年度はここまで6勝9敗と負けが込んでいる佐藤九段だが、相性の良い竜王戦で復調のきっかけをつかめるか。


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[ 2011/07/22 06:34 ] 竜王戦 | TB(0) | CM(0)

第24期竜王戦 久保利明二冠が挑戦者決定戦進出

竜王戦中継サイト

初戦で羽生二冠を破る金星を挙げた橋本崇載七段に久保利明棋王・王将の対戦。勝者が挑戦者決定戦進出となる。

久保二冠が後手番ということで予想通りゴキゲン中飛車対居飛車の対抗形となった。先手の対策は超速3七銀、対して後手は△4四銀型(銀対抗型)で角頭を受ける。▲3五歩や▲4五銀がなくなったので先手は▲6六歩から持久戦に切り替えるのが定跡。ここから穴熊に組む例が多い、というかほとんどが相穴熊だが(例:NHK杯▲行方△菅井)、橋本七段は▲6五歩からの位取りを選んだ。二枚の銀で押さえ込む方針だ。

先手が5五の歩を狙いに来たのに対して、久保二冠は△5三金!

(↑局面図はクラウド将棋局面図ジェネレータで作成)
この手は誰も思いつかなかっただろう。5五の歩はおとりで、金を前線に出して反撃するのが久保二冠の構想だった。

▲5五銀(43手目)で戦いが一段落して、そこから第二次駒組みとなった。この辺りはお互い指し手が難しいが、後手のほうが指しやすい感じがする。後手は行くぞ行くぞと見せかけながら穴熊を完成させる。

△3六銀は銀挟みがあるので危なそうに見えたが、そこからうまく捌いてみせた。
角取りを無視して△5五歩(54手目)が捌きの好手。続いて△4五桂(58手目)の「天使の跳躍」で、後手優勢がはっきりした。

久保陣の駒が捌けまくりで、後手玉は遠い穴熊。橋本さんもこの桂跳ねを見て観念したのではないか。


羽生二冠を破り勢いに乗っていた橋本七段だったが、二冠の自由奔放な指し回しに翻弄され何もできないまま終わった。竜王挑戦の夢はあと一歩で及ばず、連勝も14で止まった。

勝った久保二冠はこれで2年連続の挑戦者決定戦進出となった。最近の充実ぶり、そして渡辺竜王に対戦成績で勝ち越していることを考えると竜王挑戦だけでなく奪取、三冠達成も十分ありうると思う。

棋譜:久保利明二冠 対 橋本崇載七段


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[ 2011/07/20 20:00 ] 竜王戦 | TB(0) | CM(0)