ユニバーサル杯女流名人位戦中継ブログ: *第39期五番勝負第4局 棋譜→
第39期女流名人位戦五番勝負第4局 里見香奈女流名人 対 上田初美女王戦型は後手里見の角交換振り飛車→石田流だった。いわゆる「3・4・3戦法」(△3五歩→△4二飛→△3二飛と動かすので343)と呼ばれる作戦である。本譜は4手目△4二飛からの出だしで△3五歩は後回しにするので「4→3戦法」。角交換振り飛車の含みを残して玉の囲いを優先する。ちなみに、今度マイナビから出る予定の『振り飛車4→3戦法』(戸辺誠六段著)は、この作戦を解説した本のようだ。
参考→"
新発見!「振り飛車4→3戦法」" (マイナビブックス将棋編集部)
対して先手の上田女王は▲6六歩と角道を止めて得意の居飛車穴熊を目指す。先手玉は金銀二枚で薄いが、とりあえず穴熊に組めたので不満はないだろう。控室の予想通り▲6五歩(37手目)と仕掛けて戦いが始まった。
▲7五歩(51手目)からのコビン攻めが厳しく先手が良くなった。こうなると美濃囲いは脆い。穴熊と美濃の囲いの差が出てしまった。79手目▲5五角が気持ちの良い決め手で、里見さんをもってしても粘りきれなかった。95手で上田女王の圧勝となった。
里見さんも感想コメントで言ってるように、後手がもう少し早い段階で動くべきだったのかなと思う。本譜は序中盤で居飛車に主導権を握られてしまったので。
それにしても最近の上田女王は本当に強くなってると思う。里見さんも奨励会で揉まれて強くなっているが、それ以上に上田女王には勢いを感じる。本局も最近の充実ぶりを示す素晴らしい内容だった。
これで五番勝負は2勝2敗となって最終戦にもつれることとなった。今年度の女流タイトル戦はテレビ棋戦の女流王将戦を除くと全てストレート決着だったが、今回は久々のフルセットで面白くなった。最終戦はどちらが勝っても熱戦となることを期待します。
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