棋王戦中継plus: *第38期棋王戦五番勝負第3局棋譜→
2013年3月10日 第38期棋王戦五番勝負 第3局 郷田真隆棋王 対 渡辺明竜王1勝1敗で迎えた第3局。ここで勝ったほうが棋王獲得に王手をかける大一番だ。
戦型は郷田先手で▲7六歩△8四歩▲6八銀の出だしから相矢倉になった。郷田が初手▲7六歩を採用するのは久しぶりだった。
将棋世界4月号の棋王戦観戦記に「昨年5月下旬以降、郷田は先手番で初手▲2六歩から相掛かりを目指している」(p.14)とあったので、本局も相掛かりになると思ったがその予想は外れた。
最近のプロの矢倉は▲4六銀・3七桂が流行っているが、本局は▲1六歩と▲2六歩を先に決める「加藤流」。
▲3三桂成(47手目)に△同金寄と取ったのが渡辺の新構想だった。後手は玉を固めてカウンターを狙う。対して▲4六銀から▲3五歩で先手が先攻するが、後手玉が堅いので攻略するのは容易ではない。
▲5二角(65手目)の銀取りに対して、受けずに△9四桂!が凄い手だった。
以下▲2五角成で銀損になるが△8六歩▲9八銀と受けさせて後手が指せる。駒の損得だけでいうと銀得で馬も作った先手が良いはずだが、駒の効率は後手。郷田が局後の感想で嘆いていたように▲9八銀の形がひどく先手が苦労する将棋となった。
▲5九馬に△2四歩(78手目)と突いた手が好手だったようだ。これで先手から攻めるのは難しくなった。
我慢しきれず▲8六歩(91手目)と取ったが、△同桂から一気に寄せられてしまった。
終わってみれば渡辺竜王の圧勝だった。これで棋王奪取まであと1勝。後手番での勝利ということもあり、この1勝は非常に大きいと思う。
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