スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

激辛流と人は呼ぶけれど・・・

新聞観戦記でこれ良いなぁ、読み返したいなぁと思ったものは昔からノートにスクラップしている。(最近はEvernoteが便利で使っている)

その中から今日紹介するのは、今年(2011年)2月25日に日本経済新聞に掲載された島朗九段の王座戦観戦記。▲鈴木大介八段-△丸山忠久九段戦の最終譜です。

島さんの観戦記は物語調で対局者の心理描写が入るのが特徴。好みが分かれるところだと思うが、私は好きだ。

激辛流の異名を持つ丸山九段だが、その呼び名について島九段はどう思っているのか。

勝負を決める時間
 目の前の相手は席にいない。すでに勝負を争う雰囲気にないこともわかっていた。冬にしてもまだ暗くはなっていないこの時刻、勝てる確率はきわめて高い。

 しかし丸山の考えていたことはただ一つ、将棋は一瞬で簡単に負けるという真理だった。激辛と評されることがある。多くの敬意とかすかな揶揄(やゆ)が含まれた言葉だが、何故そういわれるのかわからない。優位な局面に丁寧に取り組み逆転の芽を消すのは、当たり前のことではないか。

 戻ってきた鈴木を待つように指された7三香から8八飛が、角取りが受けにくいことを見越した最速の攻撃。8八飛の局面で、鈴木にはもう、候補手がなかった。

 厳しい状況でよく自分に問う。これは仕事か楽しみか?答えは明快、ボロボロになるまで指すしかない。7八銀からの手順と無残なまでの駒の取られ方と残骸に、鈴木の無念と投げ出せない心が表れていた。

 決め手は、4四角に記録されている9分間の静止した時間にあった。

 指す手は決まっていた。正直、丸山も指したくて仕方がなかった。早く勝ちたい気持ちはトッププロでも同じである。

 しかし、これからもこの相手とは終生、重要な局面で戦うことになる。そのために、完璧な収束が必要であった。それはきれいに勝つことではなく、心にダメージを与えること。一発勝負でない専門職の世界は、みなこうしたものかもしれない。

 静止した時間は、明日を見据えてのものにほかならなかった。

今週月曜日に行われた竜王戦、久保二冠を破って挑戦を決めた将棋は丸山九段らしさが出た一局だった。

序中盤は振り飛車(久保)ペースだったが、丁寧な指し回しで先手の攻めを受け止め逆転勝ち。
最終盤角捨ての妙手から即詰みがあったが、丸山九段は上部を厚くして自玉を安全にしてからの寄せを選ぶ。絶対に負けないという寄せで丸山九段らしかった。それでも、この程度の安全勝ちは普通にあるので「激辛」と言うほど辛くはなかったと思う。

島九段も言うように「激辛」という言葉はしばしばネガティブな意味で使われる。「光速流」に比べると格好良くはないかもしれない。それでも、周囲の揶揄にも動じずわが道を貫くところが丸山九段の強さなのだと思う。


関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
[ 2011/09/17 07:30 ] 竜王戦 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL