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竜王8連覇・渡辺明竜王の合理主義

第24期竜王戦は渡辺明竜王が丸山忠久九段を4勝1敗で下し、8連覇を達成しました。
振り返ってみると、渡辺竜王の強さばかりが目立ったシリーズでした。
今年度はこれで勝率ジャスト8割(28勝7敗、1位)!王座も獲得して充実の時を迎えている。

竜王の活躍は将棋界の内外から注目されている。10月29日発売の『日経情報ストラテジー 2011年 12月号』 という雑誌に渡辺竜王へのインタビュー記事(「将棋棋士・渡辺明竜王が語る逆境下の勝負術」)が載っていた。
今日はその中から渡辺さんの研究に対する考え方を紹介してみようと思う。

研究家と呼ばれることも多い渡辺さんだが、どのようなスタイルで研究を行っているのだろうか。

・情報の取捨選択
 将棋界も企業と同様、ここ10年ほどの間に情報化が進みました。(中略)
 情報の流通が以前と比べて格段に速くなっていますから、対局に勝つためにはより多くの情報を咀嚼して蓄積しておく必要があります。とはいえ、全ての棋譜を精査することも困難です。
 では情報をどのように取捨選択していくか。私は自分の将棋の序盤戦に登場しそうかどうかという基準で、棋譜に対するスタンスを全く変えています。自分が指す可能性が高い戦型であれば、新たな棋譜が入るとすぐに時間をかけて目を通します。とりわけ最新の流行形は日々の情報を分析し、自分なりの結論を修正しています。
 一方、自分が指しそうにもない棋譜には注目しません。棋譜データを開いても、15秒程度で閉じてしまうこともあります。ほとんど見ていないのと変わりませんね。こうすると1日に20局分の棋譜が集まったとしても、研究する対象は5局程度まで絞られます。
 序盤の棋譜の分析に時間をかけるのは、対局中の序盤に考える時間の無駄を省くためです。実戦では、対局者が考慮できる持ち時間が王座戦であれば5時間などと、あらかじめ決まっています。序盤から考えていると、中盤以降の勝負どころで考える時間が足りなくなってしまいます。それでは勝てません。


情報の取捨選択、渡辺竜王らしい合理的な考え方である。対局中の無駄を省くために棋譜並べがあり、その棋譜並べにおいてもきっちりムダを切り捨てる。竜王は居飛車党なので、角換わりや矢倉の棋譜は丹念に目を通すのだろう。その一方で、振り飛車や力戦調の将棋はあまりチェックしないかもしれない。

・研究と実戦の相互補完
渡辺竜王が序盤研究に長けていると言っても、やはり研究だけでは勝てない。また、研究で必ず自分が優勢になる順が見つかるわけではない。

今回の竜王戦第2、第4局で登場した角換わり腰掛け銀の将棋は先手の勝率のほうが高く、後手を持つ棋士は少ない。それでも竜王は後手を持って指し続けている。どうやって後手でも戦えるようにしているのだろうか。竜王は次のように語る。

 そもそも、将棋は後手番になって時点である意味逆境といえます。主導権を握りやすい先手番の方が有利な傾向が、プロの対局では鮮明に出ているのです。私の場合、先手と後手で勝率がおよそ1割も違います。
 後手番の研究も重ねていますが、やはり圧倒的に有利な形に持ち込むのは困難です。それでも五分五分くらいで戦える手順は考えられます。そこで戦型ごとに考えられる手順を1つずつ検討し、それぞれ「この手順の勝率はこれくらいだろう」と評価しています。ただし勝率が良さそうでも自分の力を発揮しにくい戦型は避けます。このような評価を基に、研究に自信がある手順から次々と実戦で試していきます。実戦が本当に5割の勝率ではまずいので、ある程度進んだ時点で局面の複雑化を進め、相手がミスしやすくなるようにする工夫もしています。(後略)


第4局、角換わりの後手番で竜王が用意してきた作戦は6筋位取りだった。これは、相手の動きを待つ作戦で自分から積極的に良くするのが難しい。しかし、最善の守備陣を崩さずに待てば、五分五分で戦える。将棋は一手パスができないのでその待ち方は難しいのだが、竜王は細やかな工夫をみせ丸山の角換わりを破った。

局面を複雑にしてミスを誘い、引き離すというのが竜王の後手番での方針なのだろう。ある意味実戦的である。
このあたりの強かさは、なかなか真似出来ないところかもしれない。

記事の最後で渡辺竜王は「実戦は研究のあら探しをする場所ですね。」とまとめている。
研究合戦の色が濃い現代将棋だが、研究に頼り過ぎても駄目なのかもしれない。
竜王にとって、研究は実戦で考える時間を減らすためにあり、研究の穴を見つける場所として実戦がある。このサイクルを徹底していることが渡辺竜王の強さの理由なんでしょうね。

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(2011/10/29)
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[ 2011/12/03 20:00 ] 竜王戦 | TB(0) | CM(0)
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