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第62期王将戦第1局 渡辺先勝

王将戦中継ブログ: *第62期王将戦七番勝負第1局
棋譜→第62期王将戦七番勝負第1局 佐藤康光王将-渡辺明竜王

第1局の戦型は意表の相掛かり。佐藤王将の場合何をやってくるか分からないので戦型予想がしにくいのだが、初手に▲2六歩を突いたのは意外だった。ちなみにこの日の副立会いが中座七段、ニコ生解説は野月七段だったが、2人とも相掛かりを得意としている。まぁ立会いで戦型を選んだわけではないだろうが、本局の解説役としてはぴったりだった。

先手の作戦は引き飛車棒銀。これに対して後手の作戦は色々ある。最近は△8五飛型で乱戦含みで戦う指し方もよく見かける。本譜は昔から指されている△8四飛+△3三角型だったが、中原囲いにしたのが珍しい。このほうが玉が堅く勝ちやすいとみたのだろう。渡辺竜王らしい作戦選択だと思う。

対して先手は玉を右のほうに囲った。前期第1局では佐藤の三段玉(▲5七玉)が話題となったが本譜も▲4八玉から場合によっては玉が三段目に上がる変化がある。佐藤康光らしい玉捌きだ。だが、このあたりは玉の堅い後手のほうが(形勢は別として)勝ちやすい将棋だと思った。

2日目の午前、馬ができたあたりは後手良しにしか見えなかったが、実際の形勢は難しかったようだ。

そして72手目、後手は△3六歩▲同銀△2四桂から寄せにいく。ひと目先手玉は寄りとニコ生の阿久津七段も解説していたが、▲5八銀(83手目)が好手で意外と大変だった。
佐藤渡辺王将1_001

そしてそこから十手進んだ93手目の局面はなんと先手勝ちの変化まであるという。感想戦によれば、▲4五桂が敗着で▲3四桂なら先手に勝ち筋があった。
佐藤渡辺王将1_003

▲3四桂に対して仮に△1九歩成だとのちに▲3三角不成で先手玉が打ち歩詰めになる変化がある。但し、▲3四桂には△1九歩成以外にもいくつか応手があって難しい。このあたりは専門誌での詳しい解説を待ちたい。
→参考:王将戦中継ブログ : 感想戦での妙手順

しかし、その勝ち筋を逃してからは先手が負けになっている。こういう薄い玉形は一度チャンスを逃すとボロボロになることが多いが、本局もそうだった。佐藤王将は最後まで必死の粘りを見せたが、渡辺竜王は冷静な指し手を続け逆転を許さなかった。

厳密な形勢は別として、先手がずっと勝ちにくい将棋だったと思う。堅く囲って先攻する渡辺竜王の構想が上手くいった一局。持ち時間の使い方も含めて、竜王らしさが存分に出た将棋だった。

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[ 2013/01/15 07:30 ] 王将戦 | TB(0) | CM(0)
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