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上野裕和「将棋・序盤完全ガイド 相居飛車編 」

将棋・序盤完全ガイド 相居飛車編 (マイナビ将棋BOOKS)将棋・序盤完全ガイド 相居飛車編 (マイナビ将棋BOOKS)
(2013/03/27)
上野 裕和

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このブログの読者はプロの将棋を観て楽しむ「観る将棋ファン」が多いと思いますが、そういう方にお薦めしたいのが上野裕和プロの『将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編』と『相居飛車編』です。ここでは3月27日に発売された『相居飛車編』の感想を書きたいと思います。

著者のちゅう太こと上野裕和五段は、トーナメントプロとしては地味ですが将棋の普及には定評があります。

本書のターゲットは観る将棋ファン(10級~五段)、指すファンは級位者を中心に二段・三段ぐらいまで。
プロの将棋を観戦するのが好きだが、内容はよく分からないのでおやつや食事の写真、コラム等を中心に楽しんでいる」(『振り飛車編』より引用)という人にもお薦めです。

この本の感想を一言で書くとすごく分かりやすい。予備校の参考書を読んでいるような。テレビ番組でいうと池上彰のニュース解説のような分かりやすさ。私だったら「そうだったのか!現代将棋」というタイトルをつけたい。まぁそれはパクリだからダメなんだけど。もし池上彰が将棋の解説書を書いたらたぶんこんな感じになるんだろう。ここまで分かりやすい将棋の本は今までなかったと思う

発売記念のニコ生で語っていたが、著者はこの本を書くに当たって分かりやすくということを一番心がけたそうだ。まず、NGワードを設定し、10級ぐらいだと分からないような言葉は使わないようにした。例えば「あたりが強い」(=攻撃目標になりやすい)「本筋」という言葉。
そして専門用語を使う場合には最初に定義をきちんと説明するようにした。「序盤」とは何か、「作戦勝ち」とは何かというところから丁寧に説明している。

また読みやすいように色々な工夫もなされている。図面に矢印を多用し、大事な部分には網掛けを入れている。

今回発売された『相居飛車編』は相居飛車の主流戦法である矢倉、角換わり、一手損角換わり、相掛かり、横歩取りの5つを解説している。対抗形(居飛車対振り飛車)と比べると相居飛車の序盤は分岐が複雑で難しいのだが、コンパクトによくまとまっている。

本書は3部構成になっている。各部各章の内容は以下の通り

第1部 序盤の基礎知識
 第1章 相居飛車初めて講座
 第2章 相居飛車の各基本図までの手順

第2部 相居飛車の歴史を振り返る
 第1章 相居飛車の歴史
 第2章 相居飛車を理解するためのキーワード

第3部 相居飛車、主流戦法の紹介
 第1章 矢倉―これぞ将棋の純文学
 第2章 角換わり―攻め切るか受け切るか、白熱の攻防
 第3章 一手損角換わり―手損の意味を根本から揺さぶる新作戦
 第4章 相掛かり
 第5章 横歩取り―食わず嫌いは無用!最もスリリングな戦型


第1部は序盤の基礎知識ということで初手から基本図までの手順を解説する。
後手の2手目が作戦の分岐点で、2手目が△8四歩なら矢倉か角換わり、△3四歩なら横歩取りか一手損になる。序盤の一手ずつの意味が分かると観戦も面白くなると思う。例えば渡辺竜王や郷田九段は2手目△8四歩のスペシャリストだけど、その2人が△3四歩を突くと「おおっ!」となるわけですよ。去年の王座戦でも羽生さんの2手目△3二飛でネット界隈が騒然となったことがあったが、序盤の知識があると初手から駆け引きを楽しめるようになる。

第2部は相居飛車の歴史を振り返る。
第2部第2章ではその歴史を振り返る上で重要なキーワードを紹介する。「飛車先の歩の保留」「玉の堅さ」「角交換」「後手は攻め合いから守勢へ」いずれも現代将棋を語るうえで重要なキーワードですね。

第3部では相居飛車の主要5戦法について解説する。
最初にその戦法の特徴、歴史、基本定跡、先手の理想の展開、後手の理想の展開をきちんとまとめている。特に理想形についても触れているところが良い。例えば矢倉でいえば▲4六角・▲3六銀・▲3七桂の形。
級位者の方は最新の手順を追うよりもは戦法の思想、理想形を知るほうが大事だと思う。

読む前は初級者向けの本ということで軽視していたのだが、とても分かりやすく面白かった。
章末のコラム「ブレイクタイム」も面白い!上野さんの控室での失敗談が書かれていたのだが、思わず笑ってしまった。また、故・村山聖九段とのエピソードは思わず胸にジーンときてしまった。

将棋の序盤を体系的に整理することができる良書ですね。先に発売された振り飛車編と2冊セットで買うべきでしょう。
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[ 2013/04/09 07:00 ] 書籍レビュー | TB(0) | CM(0)
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